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いすゞピアッツァの燃料タンク内部の錆修理その2 錆落としに酸が効く

こんにちは、羽鳥鈑金塗装工業所の羽鳥です。
いすゞピアッツァのガソリンタンクの内部発生した
錆を取り除く作業の続きです。

内部のコーティングやタンクを切開せずに錆を取り除く
という方向性での作業。

 1.酸性の液をタンク内に満たす。
 2.24時間置いた後、酸をタンクから捨てると、錆は落ちているはず
 3.重曹を溶かしたアルカリ性の液をタンクに張り1〜2時間、タンク内を中和する。
 4.重曹水を捨て、タンク内をよく水洗いし、すぐにタンク内を乾燥させる
 5.錆止めにタンク内に油分をコートし、錆から守る

という手順ですが、3〜5の作業は効率よく行わないと、
さらに錆を呼ぶことになってしまいます。

この方法自体には色々な意見もあり、コレが正しいとは言い切れませんが、
正直なところ私も「よくわからない」ので、普通ならこんな事はやりませんよ。
コレでダメならタンクを切断して直す覚悟があるからやるだけのことです。
でもやるからには最善を尽くしたいので、できる限り情報を集めて作業にかかります。
 
 


そして2022年1月1日の9時過ぎに作業開始。


ガソリンタンク内の油分を除去するために、
いわゆるレンジクリーナーで内部をジャブジャブ洗います。


そして、湯沸かし器で75度のお湯を出しながら、
ガソリンタンク内を洗剤水浸しにします。


この作業でキモとなるのが「温度」だそうで・・・
特に冬には食器洗いなどもそうですよね。水よりお湯の方が
洗剤が泡立ち、よく汚れが落ちますね。
だがこの季節、外の気温は4度 お湯を入れてもすぐにぬるくなる。
 


そこで登場したのが、熱帯魚用のヒーター!
500Wと300Wのヒーター2本を50L位のガソリンタンクにドボンすると
電気代はかかるものの70度や80度なんてお安いご用で温めてくれます。
しかもそれを何時間でもキープできるスグレモノ!


内部に問題なく入れることができ、75度をキープ
これは薬液の効きに大きな効果があることでしょう。
 


ということで、ジャバジャバ洗浄後、石けん水を温め、
30分〜1時間ほどホットミルクでも飲みながら漬け込みを行う。
 
 
そして時間が来て、石けん水を抜き取り、
またジャバジャバとタンク内を水洗いする。


これが抜けた水・・・錆色である・・・
 
そしてここで本命の『酸が効く』液体を入れる。



口までたっぷりお湯を入れて
ヒーターを投入し、できる限りの時間酸性の希釈液を温め続ける。
この時、温めることでなんともいえない臭いが充満するので、
作業は屋外ですること。このまま24時間放置します。
目が届く場所にいるときはヒーターを温め続けます。
さすがに場所を離れる際には、危険なのでヒーターは外しますが。
 
 
そして翌日1月2日の朝、内部を確認すると・・・
「錆があまり落ちていない・・・」
あまり漬け込みすぎるとタンクに穴が開く可能性もあります。
ここの判断は難しいところですが、でも明らかに錆が落ちていないので
漬け込み時間延長を決めました。

で、あと何時間? 何日? 漬けるか?? 1日延ばそう
 
 
ということで、
1月3日の朝、タンク内部を確認


どうするか? でもこれ以上続けても・・・
でも見えるところの錆は落ちている感じがしたので
「よし、洗浄しよう」
ということで決行!
 
酸性液を回収し、タンク内部をのぞくと・・・


良い感じにキレイになっています!
 


内部からはこんな感じの錆カスがとめどなく出てきます。
できる限りこれを排出し・・・
そして


重曹を溶かしたお湯に漬けて、酸性からアルカリ性に変化させ、
タンク内部の酸性化を終わらせる。

重曹は温めることでアルカリ性が強くなるとのことなので
ここもヒーターを導入して、小一時間ほどタンクを振ったり
お湯を張ったりして中和します。
そして洗浄。一体ここまでに何Lの水やお湯を使ったか・・・
 


中和と洗浄が完了したタンク内部がこちら。
給油口の脇あたり、良いかもしれない・・・この辺ガビガビに錆びてて
粉がすごかったのですが・・・ここまで落ちるとは思っていなかった。
 
さて、ここから効率よく行かないとすぐに錆びてしまうので


ヒートガンとエアーブローで強制的にタンク内部の水分を瞬時に蒸発・・・
とはいえ、そんな簡単に水分は消えてくれない。
そんな間にも、新年のご挨拶や「ちょっと見てくれる?」とご来店のお客様・・・
「今、手が離せません」とは新年から言えないので、対応しつつタンク乾燥を続けます。

そして数時間後、内部からカスも水分も消え・・・非常に具合が良い
成功だ!

本来なら、ここからコーティングするのですが、今回お客様から
「コーティングはしないでくれ」とお願いされているので・・・
でも、このままでは秒で錆が始まりますので、すぐに
ガソリンにエンジンオイルを混ぜた混合油をタンク内に入れてシェイク。
タンク内をオイルでコートして錆を防ぎます。


いやいや、思いのほか落ちましたよ こりゃ大成功だ・・・
 
1月3日のお昼過ぎ、タンク内部の清掃は無事に終わった・・・


燃料タンクの口の周りの塗装が剥がれているのを見ると
薬剤の強さがうかがえます・・・

このあと、タンクを車体に乗せて組み付けだ。
はたして成功するのか? この時点ではまだ笑えない

続く・・・

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