アバルト695ビポスト

公開 : 2014.12.06 23:50  更新 : 2017.05.29 18:23

■どんなクルマ?

史上最強、史上最速を謳うモデルがアバルトからデビューを果たした。その名も695ビポストだ。

今年の3月に開催されたジュネーブ・モーターショーにて初めて姿を現した、筋骨たくましいこのクルマの正式な立ち位置は ’走行会専用車’。アセット・コルサによって拡張された動力性能は、超ハードコアなドライビング体験を提供してくれるのだそうだ。

アバルトの聖像ともいえる695の50周年を記念して、内装剥き出しの2人乗りのこのクルマが英国に到着するのは2015年の初旬。もちろん右ハンドル仕様となっており、気になる車両価格はなんと、標準のアバルト500の2倍の£32,990(625万円)となる。あまりの高さに涙がこぼれおちそうだ。

動力源となるのはフィアット製1.4ℓT-ジェット・ガソリン・エンジンを大幅にチューンナップしたもの。最上級モデルよろしくギャレット製のタービンや大型のインタークーラー、アクラポビッチ製エグゾースト・システムが組み合わされる。

ユーロ6にも適合するこのユニットの最高出力は190ps/5000rpmまで引き上げられ、スタンダードのアバルト500よりも55psの増強となる。駆動方式はFF、トランスミッションは電制デフと組み合わされる標準の6速MTか、サーキットに的を絞った5速シーケンシャルMTがオプションで選択可能。後者はアセット・コルサが制作を請け負い、これに組み合わされるLSDは機械式となる。

最大トルクはそれぞれのトランスミッションによって異なり、6速MTの場合は25.4kg-m、5速シーケンシャルMTの場合は27.5kg-mというのが公表される値。なおこれらの最大トルクは、両トランスミッションともに3000rpmで発生する。

997kgというアバルト695ビポストの車両重量はシトロエンDS3レーシングよりも233kg軽い。したがってパワー・ウエイト・レシオは191ps/トンにおよび、DS3レーシングよりも25ps/トン、パワフルということになる。

スタンダードのアバルト500に組み合わされていたマクファーソン・ストラットとトーション・ビーム・サスペンションには徹底的な改良が施されている。スプリングはとてつもなくハードなものに変更され、伴ってアジャスタブル・フロント・ダンパーやブッシュの復元力も高められている。車高が20mmの幅で調整できるほかに、フロント・サスペンションはリバウンド・ストロークも調整可能だ。

左右輪は前後ともに5mmずつ外側に張り出しているため、合計で全幅が10mm拡大している。18インチのOZ製ホイールには215/35のグッドイヤー・イーグルF1タイヤが組み合わされる。ブレーキにも変更が加えられおり、フロント・ディスクはブレンボ製の305mm、キャリパーは4ポットであるのに対し、リア・ディスクは240mmにシングル-ポット・キャリパーを組み合わせる。ブレーキ系統のセット-アップに関しては695トリビュート・フェラーリと同じだ。

■どんな感じ?

実物を目の前にすると、写真で見るよりもアグレッシブな雰囲気を漂わせていることがわかる。基本的なパーツは695トリビュート・フェラーリのそれに準ずるかたちをとるが、迫力を感じるのは、カーボン製スポイラーが前後に奢られ、リアにはかなりの存在感を放つディフューザーが鎮座しているからなのだろう。なおこのディフューザーは、ルックスのみならず高速域でも実際的な力を発揮するとのことだ。

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