英国版、お得なクルマ決定戦

公開 : 2015.01.14 23:50  更新 : 2017.05.29 19:51

ヒュンダイ i20 1.4SE
スコダ・ファビア 1.2TSI 90 SE L
MG3 スタイル
シトロエンC4カクタス 1.2ピュアテック・フィール
ダチア・ローガンMCV 0.9 TCEローリート

安価であることが、クルマを買ううえで大きな魅力になるのは言うまでもないけれど、それだけでは購入の最たる理由にはなり得ない。

大事なのは、安価でありながらも、その価格以上の魅力と能力を持ちあわせていることだ。AUTOCARのロードテスト編集補佐であるマット・ソーンダースが、すべて日本未導入のモデルではあるが、5台の候補車両の中から、真の ’お買い得車’ を選び出す。

テスト当日。選び抜かれた候補車は、われわれのオフィスの前を占拠していた。いよいよ順位付けされる日が来たのだ。ゆっくりではあるけれど、確実に近づく高速道路テストに向けて、それぞれが緊張しているかのように感じた。

ここに集まったスコダ、ヒュンダイ、シトロエン、ダチア、MGの5台は、実は英国における2012年の総売上の1.2%しか占めていない。歴史をさかのぼっても、合計でわずか11%程度にとどまっている。どちらかと言うと、マイナーなメーカーとして括ることもできるくらいだ。

これら5メーカーが各々の評価を高めるためには、当然ながら ’いい製品’ である必要がある。スコダやダチアが名を馳せるには、フォルクスワーゲン・ポロやフォード・フィエスタなどの小型車ライバルに台頭していかなければならない、というわけだ。

スコダ・ファビアやヒュンダイi20の最新2台が高い評価を得ることになるか、あるいは面妖な香りを振りまくシトロエンC4カクタスが実力を発揮するのか、はたまたローコスト・モータリング代表のダチア・ローガンやMG 3がトップに躍りでる可能性だってある。

検証1:乗り味

低価格を打ち出すメーカーと言えども、それぞれのもたらす運転感覚は要チェック項目だ。’安かろう悪かろう’ では、とても購入しようという気にはなれない。動力性能、洗練性、快適性に操舵性能を、いつもどおり見ていこう。

テストに供した5台はどれも1.5ℓの排気量を下回るのだけれど、幸いにもそれぞれの瞬発力に絶対的不満を感じることはない。テスト車両よりも2倍高価なプライスタグを掲げるフォード・フォーカス・エコブーストの0-100km/hタイムである11.0秒を参考にすると、シトロエンC4カクタスのみがこのタイムより長い時間を要した。

高価なオプションをたくさん盛っていただけに、この結果は残念だ。シトロエンの言葉を借りると ”1.2ピュアテックは現実的な走行において十分な実力をもつ” ということになるけれど、実際に高速道路の速い流れに従おうとすると、ややパワー不足を感じざるを得ない。

だからといって、パワー不足そのものが絶対的な減点ポイントになるかというと、お買い得車対決ではそうはならないので安心されたい。それよりも、操舵のしやすさ、満足できる乗り心地、軽く、楽しみに満ちたコントロール、キャビンの静けさの方が必然的に重要になってくるのではないかと筆者は思うからだ。

これらの観点でみると、ダチア・ローガンは芳しくない結果となる。まずまずのグリップとレスポンスには評価を与えたいところだけれど、速度が増すとボディ・コントロールの均整が一気に崩れてしまうのだ。英国のように忙しなく走り回るドライバーが多い国では、快く受け入れ難いかもしれない。

ローガンの載せるルノー製0.9ℓガソリン・ユニットの力強さは十分なもの。ただし、ガス・ペダルのねっとりとした感覚や、なめらかさに欠けるクラッチ、引っかかりのあるギアレバーなど、せっかくのエンジンの足を引っ張る要素が目立つ。いつ、どこで、どのように運転しようとも、常に安価であることのトレードオフを感じることになる。

これに比べると、C4カクタスのコントロール性能はわずかにではあるが円転自在に感じる。感覚にも一貫性があり、精緻感に富むとまではいい難いものの、ラフな路面でのコントロール性も高い。ただし大きな隆起を踏み越えた際の破綻の早さや、速い速度でコーナーを抜ける際のロールの大きさは明確に伴う。緻密さに欠けるシフト・フィールや先述のパフォーマンス不足まで考えると、説得力とはやや遠い所にあるというのが現状だ。

MGがシトロエンを大きく凌ぐのは、その車両価格ゆえ。徹頭徹尾フラットなコーナリング姿勢と、バランスの良いグリップ、フットワークの軽さもさらに差をあける。運転を楽しめる最低限の要素をおおよそ兼ね備えているともいえる。仮にあと20psほどの力があり、なおかつクラッチ・ペダルの感触とリア・サスペンションのマナーに磨きがかかれば、£9,999(179万円)の車両価格からは考えられないほどの出来栄えになるはずだ。

スコダとヒュンダイはどうかというと、両方とも大きな問題は抱えていない。このクラスのクルマの制作に熟達してきたメーカーであることから、動力性能をはじめとする細やかな作りこみに抜かりは見あたらない。

スコダ・ファビアは、今回の候補車量のなかでももっとも落ち着きがあり、乗り心地も一番高い評価を与えられる。コントロールに与える味付けも車重に完璧にマッチしており、この上なくリニアな印象だ。不安に感じることが一度もなかった。ターボ加給がなされるおかげで、エンジンも終始リラックスしているようで、加速に最適な速度を得るに苦労することもない。

ヒュンダイi20のハンドリングの正確さと敏捷性はファビアのさらに上をいく。ファビアよりもレートの高いスプリングを組み合わせているからこその安定感なのだろう。パワートレインはファビアのそれほど静かではなく、相応の加速を得ようとすると必然的に回転を稼がなければならないものの、1.4ℓユニットの機械要素の完成度はかなり高い。

大きい段差を踏み越えたときのみ、下からの突き上げを無視できない時もあるけれど、極力しずかに入力を沈めようとしていることがよくわかる。5台のなかではスコダ・ファビアがもっとも上品な仕立てであり、MG 3がもっとも楽しく、その両方のキャラクターを巧みな技術でヒュンダイi20が ’良いとこ取り’ しているといった表現が適切だろう。

 
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