ユーズド・ロードスター・モデル購入ガイド

公開 : 2015.01.26 23:10  更新 : 2017.05.29 19:52

  • フォード・ストリートKa (2003-2006) 見た目もよく、走りもいいストリートKa

  • マツダMX-5 Mk2 (1998-2005) お買い得のロードスターといえばこれが鉄板

  • トヨタMR2 Mk3 (2000-2007) 走りはいいが、ウェットでは扱いづらくトランクもない

  • BMW Z3 (1996 - 2002) ずっと高級に見えるが、この値段で選べるのは下位グレードだけ

  • メルセデス・ベンツSLK (1996-2004) ハードなイメージはないが、いい玉ならお値打ち品

寒さは厳しいが、春は確実に近づいてきている。気温とともに相場が上がってしまう前に、お値打ち価格のロードスター・モデルを新調してはいかがだろう。われわれのお勧めはこの6車種だ。

1 – MG TF (2002-2006)

ミドシップ・エンジン・モデルを探すと、どうやってもMG TFよりも高くつくものだ。唯一の例外は、この先代にあたるMGFで、さらに安い価格で手に入る。しかし、このふたつのモデルは相場にそれほど大きな差がないのだから、われわれは絶対にMG TFをお勧めする。先代のハイドラガス・サスペンションから一般的なスチール・スプリングに仕様変更したことで、MG TFはシャープな走りを手に入れたのだ。また、オープン・トップのモデルながらユーロNCAPの四つ星評価を得たことは、10年以上たった今でも快挙だといえよう。

長年TFは2シーター・スポーツカーのベストセラーだったから、玉数が豊富で相場も安い。みずぼらしい個体なら数百ポンドからあるが、程度のいいものだってそれほど高くはない。つまり、われわれの予算に見合った玉もあるのだから状態の悪い物件は無視するべきなのだ。マニュアルならばどのモデルも走りはいいのだが、無理のないコーナリングができる1.8ℓの162ps仕様が最も楽しめるはず。TFというクルマは、広々としたキャビンと妙な形ながら使い勝手のいいトランクを持ち合わせ、驚くほど洗練されたモデルなのだ。

マイナス評価といえば、まったくスポーティとは言えないドライビング・ポジションと、定番トラブルというほどでもないがきちんと直すには値の張るヘッド・ガスケットの問題が悩ましい。最後に1点、ステップスピードは避けよう。ステアリングにシフト・ボタンがあるというのは、思っているよりも楽しめるものではない。

ココがお勧め お得なモデル、使えて走れて玉数も豊富
ココが泣き処 多少のメンテは必要

2 – フォード・ストリートKa (2003-2006)

フォードで一番小さく、安いモデルのコンバーチブル仕様。相場に比べて妙にプレミアム感ある見た目が特徴。すべてのモデルにアロイ・ホイール、リモコン集中ドア・ロック、CDプレーヤーが装備される。生産はフォードの主要ラインではないが、Kaの標準モデルよりもつくりは良い。

プロポーション抜群のこの小さな2シーターは、走りが驚くほどシャープ。1.6ℓエンジンはノイズが若干気に触るし、もう少し控えめでもいいが、タフでメンテナンスも簡単である。われわれの予算でも確かな個体を選べるから、妥協せずに探そう。もしもウインター・バージョンを見つけられたら、ハード・トップとシート・ヒーターがついてくるので年中使えるクルマの有力候補になろう。

ココがお勧め そこら中で売ってる、見た目もよくお得
ココが泣き処 エンジンはパッとしない

3 – マツダMX-5 Mk2 (1998-2005)

安くて走りもいいオープンカーの代名詞といえばMX-5。心つかまれる走行性能とお値打ち感とをこれほど調和させたモデルはおそらくないだろう。まさにポケットマネーで買える1台。

リトル・マツダのMk2は、初代よりも快適装備を追加し仕上がりもよくなった。それにもかかわらず走りの質は少しも落ちてないのがこのモデルを選んだ理由。錆の腐食がないものを選ぼうとすると多少の時間が必要だろうが、玉数は豊富だ。目にする機会は多くても極端な改造車両は避けよう。足まわりをやたらにイジッた個体は、本来の乗り味やハンドリングの良さを台無しにしているものが多い。

ココがお勧め 走りは文句なし
ココが泣き処 初代にあったオーラはどこへ?

4 – MR2 Mk3 (2000-2007)

サイズが小さく、シャープなスタイリングだった初代MR2は、まったくもってわれわれの予算外になってしまった。しかし、それ以降のMR2は相場が落ち着いている。Mk2は魅力的だがロードスターというよりタルガなので却下。それでもグッドルッキングなMk3が予算内なので気にすることはない。MX-5に挑むようなデザインを与えられたMk3は見た目がよく、扱いやすいうえにトヨタの名に恥じない信頼性がある。

マイナス評価はほとんどない。よく議論に上がるのは、いっぱい荷物があるときに置き場所に困るという実用性の疑問点。MX-5ならトランクがあるし、週末の遠出も問題ない。シーケンシャル・マニュアルは避けて、滑らかな操作ができるマニュアル・ミッション仕様にするのがいい。それともう1点、ミドシップ・エンジン・レイアウトはウェットでは扱いがやっかいだ。

ココがお勧め 見た目よし、信頼性十分
ココが泣き処 MX−5の方が使い勝手がいいうえに楽しい

5 – BMW Z3 (1996 – 2002)

プレミアム・ブランドをポケット・マネーで手に入れるというのは、往々にして悪い結果を招くものだ。しかし、取るに足らない程度のお金なら、BMW Z3につぎ込むのも魅力的に感じる。そうはいっても、もしも本当の意味で爽快なドライブを楽しみたいなら他をあたるのがいいかもしれない。117ps仕様か142ps仕様かにかかわらず、タフなことで知られる1.9ℓ4気筒エンジンでは、BMWの名にふさわしい走りは味わえない。

2.8ℓ仕様が予算内で見つかることはめったにない。もしあったとしてもそれはお勧めはできないものだろう。とは言うものの、Z3は見た目が良くて、キャビンも素敵だし、街を流せばリッチな気分を味わえる。コーナーを攻め続けるなんてしなくても、心を奪われる要素はたくさんある。

ココがお勧め 相場、キャビンの仕上がり、ルックス
ココが泣き処 乗り味が穏やか…

6 – メルセデス SLK (1996-2004)

今回紹介した他のモデルと比べてSLKはわりと大人びたモデルだ。複雑な機構の折りたたみ式スチール・ルーフ、スタイリッシュなインテリア、スーパーチャージャー、きちんとした立て付けなどなど。問題なのはエンスージアストの心をSLKがつかんでいないこと。つまりパフォーマンスよりも見た目重視なところがあるのだ。もしも太陽を浴びて悠々とドライブするのが幸せなら、気をもむことはなにもない。オープン・トップのメルセデスを駆るアナタを見て、多くの人は格安で手に入れたクルマだとは思わないのだから。状態のいいSLKならお買い得のロードスターと言えよう。それでもいくらかのお金は手元に残しておこう。修理代の高いトラブルがたまに発生することがあるから。

ココがお勧め メルセデス・ブランド、高級車
ココが泣き処 ピカイチとは言えない走り

おすすめ記事

 
最新試乗記