【5年前倒しの可能性】英政府、2030年にガソリンとディーゼルの新車販売禁止か

公開 : 2020.09.30 11:20

英国政府は、2030年にガソリン車とディーゼル車の新車販売を禁止すると報じられています。EVの普及加速を目的として、当初の計画から10年前倒しになります。政府によるインフラ整備や支援などが急がれます。

内燃機関搭載車の禁止が早まる

text:Felix Page(フェリックス・ペイジ)
translator:Takuya Hayashi(林 汰久也)

英国政府は、電気自動車(EV)の普及を加速させるために、内燃機関を搭載する新車の販売禁止を当初の2040年から2030年に前倒しするとの報道がある。

ガーディアン紙によると、ボリス・ジョンソン首相はパンデミック後のより広範な景気回復計画の一環として、今秋にこの動きを正式に発表すると予想されている。

自動車メーカーもさぞ驚いているだろう。
自動車メーカーもさぞ驚いているだろう。

同紙は情報筋の話として、この計画は今週公表される予定だったが、最近の新型コロナウイルス感染者の増加により今年後半まで延期されたと伝えている。

2040年までにガソリン車とディーゼル車(ハイブリッド車とプラグイン・ハイブリッド車を含む)の販売を終了するという提案は、2050年までに二酸化炭素排出量をゼロにするという政府の戦略の一環として2018年に初めて発表された。

だが、グラント・シャップス運輸長官は今年初め、そのような措置は2035年までに、あるいは可能であれば2032年までには取ることができると述べた。

一般市民には、オンライン相談で意見を提出する機会が提供された(今年7月末に締め切り)。

禁止に対する批判は、EVの流入に対応できないと考えられている公共充電施設の限られた州に集中する傾向がある。

ガーディアン紙によると、政府の野心的な新計画は、2030年までにインフラが完成するという匿名の情報源からの保証を受けたものだという。

2030年の廃止は可能なのか

昨年5月、英国の気候変動委員会(CCC)は、当初の2040年ではCO2排出量実質ゼロという目標を達成するのに時間が足りないとの懸念を表明し、政府に「充電インフラの強化を引き続き支援する」よう求めた。

これを受けて、政府は今年1月、都市部でのEV普及を促進するために、充電器への補助金割り当てを2倍の1000万ポンド(約13億円)に増やした。

まだ日本では同様の規制はないものの、時間の問題かもしれない。
まだ日本では同様の規制はないものの、時間の問題かもしれない。

また、資金の一部は充電器のモニタリング・システムの開発に使われる可能性も示唆している。EVのナビゲーションに充電器の使用状況等を共有するものだ。

パンデミックが政府の大胆なインフラ改善計画にどのような影響を与えたのかは不明だが、その中には3600か所の新たな路上充電ポイントの設置も含まれている。

先週、労働党議員3名(マシュー・ペニーコック、ケリー・マッカーシー、アラン・ホワイトヘッド)がグラント・シャップスに送った書簡の中で、内燃機関禁止を2030年まで前倒しするよう政府に求めた。この3名は、2030年は「野心的で達成可能であるICE(内燃機関)車の段階的な廃止日」になるだろうと述べた。

さらに、ペニーコックは次のように付け加えている。

「2030年は、ガソリン車、ディーゼル車、ハイブリッド車の新車販売を段階的に廃止するのは可能な年であり、英国の自動車産業に新たな息吹を与えると同時に、気候破壊と闘い、わたし達の町や都市の多くを危険にさらしている大気を浄化する年でもあります」

「しかし、政府は段階的な廃止を加速するだけでなく、そこに至るまでの信頼性の高い計画を策定しなければなりません。将来の低炭素の雇用と産業を支援し、より公平でクリーンな経済への移行において、労働者と地域社会が適切に支援されることを保証するものです」

「大臣たちは、コロナウイルスの大流行から世界をリードするグリーン復興の一環として、この機会をつかみ、全国に良質な雇用を創出し、来年のCOP26気候サミットに向けた真のモメンタムを生み出す時が来ています」

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