【新エンジンの洗練度は過去最高】ランドローバー・レンジローバー D350 MHEVへ試乗 直6ディーゼル+ISG

2020.10.30

サマリー

直列6気筒エンジンに電圧48Vによるマイルド・ハイブリッドを組み合わせたレンジローバーが登場。現行モデルの最終進化版と呼べるでしょう。英国編集部の編集長を唸らせるほど、洗練されたパワーユニットのようです。

もくじ

3.0L直列6気筒ディーゼル+48VのISG
50年の歴史で最も洗練されたエンジン
長距離でも一切の苦労知らずという特長
動的性能と経済性の両面で魅力を増した
ランドローバー・レンジローバー D350 MHEV オートバイオグラフィー(英国仕様)のスペック

3.0L直列6気筒ディーゼル+48VのISG

text:Steve Cropley(スティーブ・クロップリー)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
50年に及ぶ歴史を持つ、ランドローバー・レンジローバー。これまで、燃費を気にするべきではないと考えてきたオーナーも多いはず。

確かにこのクラスのSUVを新車で買える人なら、必要なガソリン代くらいは払えるだろう。初期のレンジローバーの燃費は、4.2km/L前後。むしろ昔は、ガソリン代を心配しなくていい財力を持つ、という自慢のような雰囲気もあった。

ランドローバー・レンジローバー D350 MHEV オートバイオグラフィー(英国仕様)
ランドローバー・レンジローバー D350 MHEV オートバイオグラフィー(英国仕様)

しかし近年は違う。大型高級SUVであっても、エネルギー効率とCO2の排出量を配慮する必要がある。そして、メーカーは努力と成果を大きな声で主張する。世界の環境基準は厳しくなる一方だ。

ジャガー・ランドローバー(JLR)も、蚊帳の外にはいられない。レンジローバーのモデルチェンジが2021年へと控える中で、マイルド・ハイブリッド(MHEV)版が追加された。たとえ1週間でも、無駄にはできないと考えているのだろう。

3.0Lの直列6気筒ディーゼルエンジンに、2種類のマイルド・ハイブリッドが設定される。D300とD350だ。レンジローバーには、プラグイン・ハイブリッド(PHEV)版も存在し、発売から1年近くが経つ。でも、このマイルド・ハイブリッド版とは別物。

エンジンは、モジュラー設計によるオールアルミ製のインジニウム・ユニット。4気筒と6気筒を、英国ウォルヴァーハンプトン郊外の近代的な工場で作り分けている。ランドローバーだけでなく、ジャガー・ブランドのモデル用としても。

従来までの、フォード由来のV6とV8エンジンが置き換えられる。ランドローバーにとっては、生産効率でのメリットも大きいはず。

50年の歴史で最も洗練されたエンジン

今回試乗したのは、D350。WLTP値での燃費は10.9km/Lで、CO2の排出量は241g/kmとなる。最高出力は350ps、最大トルクは71.2kg-mと充分にたくましい。0-100km/h加速は、先代のV8エンジン版より0.7秒短く、7.1秒でこなす。

試乗車はオートバイオグラフィーと呼ばれるグレードで、21インチのホイールを履く。最高速度は225km/hだ。

ランドローバー・レンジローバー D350 MHEV オートバイオグラフィー(英国仕様)
ランドローバー・レンジローバー D350 MHEV オートバイオグラフィー(英国仕様)

JLRによれば、直列6気筒ディーゼルのマイルド・ハイブリッドでは、CO2の排出量を13%ダウン。パフォーマンスを向上させつつ、NOxの排出量も削減しているという。

大雑把にいうと、先代のV8エンジンに匹敵する動的性能を得つつ、先代のV6エンジン相当の車重に留めている。そうはいっても、2275kgある。

V8エンジンと比較すると、フロント周りが主に軽くなっている。前後の重量配分が改善されることで、走りも良くなるはず。実際コーナーを曲がってみたが、印象は特に従来と変わらなかった。

試乗車で一番印象深く感じたのが、直6エンジンの滑らかさと静かさ。ランドローバーも強調する部分だ。エンジン始動時やアイドリング時のあまりの静かさには、驚かされる。

走行中は、不足ないパワーとトルクがリニアに湧き出る。レンジローバーに積まれたユニットとして、最も洗練されたものだといっていい。ガソリンエンジン版を凌駕している。

エンジンのオートストップ・スタート機能も付く。でも、ほとんど感知させないほど、動作は目立たない。

 

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