【毎日乗れる4シーターGT】 フェラーリ456GT/456M GT 英国版クラシック・ガイド 前編

2020.10.31

サマリー

V型12気筒にFRレイアウト、4シーターという実用性も備えたグランドツアラー、フェラーリ456。比較的信頼性も高く、価格も跳ね馬の中では手頃といえます。毎日乗れるフェラーリの注意点を、英国編集部が解説します。

もくじ

フェラーリの評価を高めたグランドツアラー
不安なく長距離を走れる信頼性
オーナーの意見を聞いてみる
英国で掘り出し物を発見

フェラーリの評価を高めたグランドツアラー

text:Malcom McKay(マルコム・マッケイ)
photo:James Mann(ジェームズ・マン)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

  
新設計のV型12気筒エンジンに、旧来的なFRレイアウトとトランスアクスル。完璧なバランスを備えた4人乗りのグランドツアラー、456GTは、フェラーリというブランドの評価をさらに高めた。

1992年の新車当時、フェラーリとしては最高値のモデルだった。それでも、同じ頃のアストン マーティン・ヴァンテージやベントレー・コンチネンタルRよりは安かった。

フェラーリ456GT/456M GT(1992〜2003年/英国仕様)
フェラーリ456GT/456M GT(1992〜2003年/英国仕様)

クロームメッキのシフトノブを動かせば、バターを切るナイフのように滑らかに、6速MTを操れる。車重2t近いクルマは、0-100km/h加速5.1秒、最高速度310km/hという高速で走った。

ピニンファリーナによる流麗で控えめなデザインは、空力的にも高性能。ヴァンテージの方がスタートダッシュは鋭かったものの、最高速度は456GTの方が25km/h上回っている。

1996年に、GM社とリカルド社との共同によるATが追加。456GTAを名乗り、高い人気を得た。

1998年、ささやかなにフェイスリフト。Mの文字が追加され、インテリアやトラクションコントロールをアップデート。ほかにも多くの改良が施され、より滑らかな走りを実現している。この456M GTでは、50%がAT車の456M GTAだ。

特別仕様も複数あり、中でも特徴的なのが、5ドアのヴェニスと呼ばれたステーションワゴン。ほかにも、少なくとも3台の4ドア・サルーンと1台のスパイダー・コンバーチブルが作られている。専門ショップの手による、カブリオレやタルガ仕様もあった。

不安なく長距離を走れる信頼性

2010年前後に、フェラーリ456の取引価格は2万ポンド前後にまで下落。あまり面倒を見てもらえないクルマもあった。これから探すなら、過去の整備記録に空白期間がないか確かめたい。もっとも、近年の整備内容の方が重要ではある。

フェラーリは456GTで、大陸横断もできるグランドツアラーを完成。不安なく長距離を走れる、優れた信頼性を獲得している。日常的に使える新世代フェラーリらしく、英国の456GTの中には16万kmを超える走行距離のクルマもある。

フェラーリ456GT/456M GT(1992〜2003年/英国仕様)
フェラーリ456GT/456M GT(1992〜2003年/英国仕様)

適正にメンテナンスさえしていれば、それくらいの走行距離で問題となることはないだろう。ただし、調整式のダンパーは問題が発生しやすい。

定期的なメンテナンスの金額が、驚くほど高価になるというケースも少ない。日常的に乗っている方が、ガレージでたまにアイドリングだけ、という456GTよりトラブルが少ないことも多い。

456GTもフェラーリだから、エンブレムが示すとおりサラブレッド。しばらく走らせないでいたり、納屋に眠らせていたような456GTの調子を取り戻すには、長い時間と少なくない予算が必要になる可能性は高い。

ボディとインテリアの傷みは、コストの掛かる部分。最高の状態にするには、充分な蓄えが必要になる。調子のいい456GTと出会えれば、きっと後悔することはないだろう。

 

人気記事