【レースを始めたのは65歳】一家3世代で楽しむフレイザー・ナッシュ ビンテージ・レース 前編

公開 : 2021.01.10 07:25  更新 : 2022.08.08 07:34

日本では馴染みのない、ビンテージカーによるモータースポーツ。盛んな英国では、世代をまたいだ趣味として楽しむ一家もあります。今回は3人でフレイザー・ナッシュのレースに挑んだコーリー一家と、その愛車をご紹介しましょう。

3世代でフレイザー・ナッシュ・チャレンジレース

text:Alastair Clements(アラステア・クレメンツ)
photo:John Bradshaw(ジョン・ブラッドショー)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
何かと行動が制限された2020年。ビンテージカー・ファンにとっても我慢が続いた1年だったが、8月23日は少数の観客とともにサーキット・イベントが設けられ、刺激的な1日になった。

暑い日差しの中、ビンテージ・スポーツカークラブ(VSCC)のメンバーが英国中部のマロリー・パーク・サーキットに集った。その中に祖父と親子、3世代で参加する家族がいた。メインイベントの1つ、フレイザー・ナッシュ・チャレンジレースに挑むために。

フレイザー・ナッシュ3台とコーリー一家
フレイザー・ナッシュ3台とコーリー一家

今回は3世代でビンテージカーを楽しむ家族、コーリー一家と、その愛車をご紹介しよう。

フレイザー・ナッシュ社とその前身にあたるGN社は、51歳の父、ダガル・コーリーにとって見慣れた存在だった。ロングストーン・タイヤも。

いま大切にしているマシンは、GNとフレイザー・ナッシュ、フォードが組み合わされた1929年式「ピグレット」。ダガルは、競争力の高さに自信がある。「これは、新しく組んだ1929年式フレイザー・ナッシュのラジエーターと同年代のクルマです」

GNのシャシーとトランスミッションに、フレイザー・ナッシュのラジエターとアクスルを取り付け、フォード・モデルAの3.3Lエンジンが載っている。社外のオーバーヘッド・バルブ・キットが組まれ、最高出力120ps、最大トルク20kg-mは出ているという。

5番グリッドに付けていたのは17歳の息子、ウィルフ・コーリー。一家の友人、ジョンノ・フェニングが所有する、1936年式のフレイザー・ナッシュ・エメリソンスペシャルのステアリングを握っていた。

オリジナル状態に近いスーパースポーツ

このエメリソンスペシャルは、後にF1チームを構成するポール・エメリーが仕上げたマシン。フレイザー・ナッシュTTレプリカのシャシーをベースに短く改造され、メドウズ製エンジンを搭載している。

「ジョンノはわたしたちと同じ町に住んでいて、14歳になるとロングストーン・タイヤで土曜日のアルバイトを一緒にしていたんです。古いクルマもともにいじってきました」と振り返る父のダガル。

フレイザー・ナッシュ・スーパースポーツ(1925年)とアンディ・コーリー
フレイザー・ナッシュ・スーパースポーツ(1925年)とアンディ・コーリー

フレイザー・ナッシュ・チャレンジレースを戦った中で最も年配で、オリジナル状態に近いクルマを維持しているのが、77歳を迎える祖父のアンディ・コーリー。1925年式フレイザー・ナッシュ・スーパースポーツで参加した。

1500ccのアンザーニ・エンジンを搭載するクルマで、所有してから25年間が経つという。「孫のウィルフがレース・ライセンスを取得したとき、家族3世代で一緒にレースへ出たら面白いんじゃないか、とひらめきました」。アンディが笑う。

「速いクルマでレースに出ることが、以前からの夢。友人のジョンノが、ウィルフがわたしのクルマに乗って、自分がジョンノのクルマに乗れば一家でレースに出られる、と提案してくれたんです」

「でも色々あって、ウィルフがエメリソンスペシャルに乗ることに。正直、残念でした」

ダガルが加える。「ウィルフはレースに出られる充分な年齢になり、父(アンディ)もまだクルマの運転を楽しんでいます。フレイザー・ナッシュ・チャレンジレースは、ビンテージカーのイベントでもハイライトの1つでした」

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