【誤作動を防ぐために】先進運転支援システム 鍵を握るは「シミュレーション」

公開 : 2021.02.02 18:05

先進運転支援システムが高度化する中、誤作動の防止が重要課題に。開発では仮想世界でテストを重ねています。

もくじ

ADASの「あら」を探すシミュレーション
現実世界のあらゆる状況を想定

ADASの「あら」を探すシミュレーション

text:Jesse Crosse(ジェシ・クロス)
translator:Takuya Hayashi(林 汰久也)

先進的な運転支援機能は20年以上も前から存在しており(初期のクルーズコントロールを含め)、そのおかげで安全性が高まっていることは間違いない。しかし、センサーやソフトウェアの数が増え、システムが複雑化するにつれて、不具合が起こる可能性について考慮する必要が強まっている。

自動緊急ブレーキや車線維持支援など、ブレーキやステアリング操作に介入するシステムは安全上最も重要なものの1つであり、不具合は避けなければならない。しかし、残念ながら、時として誤作動が起こることがある。

シミュレーション装置
シミュレーション装置

BBCニュースは1月、英サマセット州で運転支援システム(ADAS)が路上のキャトルグリッド(家畜の通行を妨げる格子)を壁と勘違いし、ブレーキを作動させたため車両が道路から外れたと報じた。

ADASの抜け穴を見つける効果的な方法として、シミュレーションが挙げられる。英国のAnsible Motion社は、レーダー、ライダーカメラ、超音波センサーをベースにしたシステムを仮想世界でテストして検証し、システムに潜む誤作動の可能性を明らかにすることができる。

シミュレーションの大きな利点は、センサー、ECU、制御ロジック、アクチュエーター、配線など、ADASシステムの各部分を個別にテストできることだ。

ライダースキャナーを使用して道路の正確なデジタルモデルを作成し、路上のあらゆる物体(キャトルグリッドを含む)をほぼ完璧に再現し、シミュレーションに使用する。ADASのソフトウェアが完璧に動作するようになれば、完成車で同じ区間の道路を実際に走行して検証することができる。

現実世界のあらゆる状況を想定

ADASの進化に伴い、認識・区別・回避する必要のある対象の範囲が拡大している。かつては動いている物体は「車両」に限定されていたが、現在では歩行者、自転車、子供、動物などを検出できるようになっており、最近では空飛ぶアヒルすら認識する。こうしたオブジェクトの数々は、Ansible Motion社によってデジタルで作成され、シミュレーションに組み込まれる。

シミュレーションはDIL(ドライバー・イン・ザ・ループ)で、コンピューターではなくエンジニアが運転を行い、ADASシステムの動作を確認することができる。自動緊急ブレーキ、スタビリティ・コントロール、さらには車線維持支援が作動した場合、ドライバーがどのように反応するかを知ることも重要だ。

スウォームテスト
スウォームテスト

シミュレーションは開発のあらゆる分野でスピードアップを実現する。クルマがより賢くなり、自動運転に近づくにつれ、ADASシステムが完全に予測可能で信頼性の高いものであると保証することは、ドライバーの信頼を勝ち取るために何よりも重要になってくる。

スウォームテスト

他の車両に対処する能力を磨くためには、「群(スウォーム)」を使ったテストが行われる。英国のAB Dynamics社は、ソフトウェアを使用して8台以上の車両の動きをシミュレートし、テストに使用している。

このソフトウェアは、現実世界のシナリオに「カット・アンド・ペースト」することができる。同社は最近、フォルクスワーゲン・グループとのスウォームテストを実施し、フォルクスワーゲンの車両制御ロボットと無線テレメトリを使用して車両を制御した。

ADASが発展すると同時に、シミュレーション技術も進歩しているのである。

 

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