【SUV市場を変えるか?】ルノー・キャプチャー新型の戦略とは 差をつける1台 グレード/内装/走りを検証

公開 : 2021.02.12 12:07

新型ルノー・キャプチャーは、どのような戦略で闘うのでしょうか。2代目にフルモデルチェンジしたコンパクトSUVの先駆者を、日本で検証します。

先駆者は1歩先を見る

text:Ohto Yasuhiro(大音安弘)
photo:Masanobu Ikenohira(池之平昌信)

昨今のSUV市場の成熟は、クルマのサイズやキャラクターの多様化にも繋がった。

ラグジュアリーカーのセグメントでは、高級車化によりフォーマルサルーンやスポーツカーのニーズの一部を奪うようになっているが、それがコンパクトカーの世界でも起きている。その流れが、スタンダード・ハッチバックから派生したクロスオーバーたちだ。

ルノー・キャプチャー・インテンス・テックパック(319万円)。新型キャプチャーの上位グレードだ。
ルノー・キャプチャー・インテンス・テックパック(319万円)。新型キャプチャーの上位グレードだ。    池之平昌信

今回の主役、キャプチャーも、そんな1台で、BセグメントのルーテシアベースのクロスオーバーSUVというポジションだ。

欧州のBセグ・クロスオーバーSUVは、都市型SUVの典型で、4WDをマストとせず、最低地上高を高めることで、生活圏やレジャーエリアの雪道や未舗装路に適用。そして、背を高めることでキャビンとラゲッジの機能を高めているのが特徴だ。

日本では、2014年より導入されたキャプチャーだが、当時の海外勢のライバルといえば、同時期に導入が開始されたプジョー2008くらいだったが、現在の日本市場には、シトロエンC3エアクロスSUV、DS 3クロスバック、VW TクロスアウディQ2フィアット500X、ジープ・レネゲートなど、同じセグメントに多様な車種が溢れる。

価格やキャラクターは様々だが、輸入車としては、比較的買いやすい価格帯のモデルばかりなので、お互いの存在は大いに気になるところだろう。しかも、どのモデルも近年に誕生したオールニューモデルというのも、急速に市場が活性したことを如実に物語っている。

そのなかでも、いち早く市場を開拓したキャプチャーは、ライバルのプジョー2008とともに、第2世代へと突入。

そこが他のライバルにとって大きなアドバンテージとなる。なぜならば、後発のモデルが開拓した市場全体を見渡したクルマ作りが行えるからだ。

狙いは、1セグメント上の客?

そこでキャプチャーが選んだ手段は、Cセグ・イーターという戦略だ。

これは、ベースであるルーテシア同様に、欧州で拡大するダウンサイザーを取り込むべく、価格とサイズはBセグだが、機能や広さはCセグ並みを目指したもの。

「インテンス・テックパック」の内装は、上品なレザーシート。もう1つのグレードの「インテンス」は、ファブリックシート、またはファブリック×レザー調コンビシートになる。
「インテンス・テックパック」の内装は、上品なレザーシート。もう1つのグレードの「インテンス」は、ファブリックシート、またはファブリック×レザー調コンビシートになる。    池之平昌信

つまり、ルノーは、日本人が大好きな「お値段以上」の価値を提供できるクルマへと成長させたのだ。この狙いは、見事、欧州ユーザーの心を鷲掴みにしたようで、2020年の欧州市場のSUVでは販売台数1位を獲得している。

そんなキャプチャーの意気込みは、その質感の高いスタイルからも伺える。これは初代キャプチャーとのターゲット層が異なる点が大きな理由だ。

カジュアルテイストだった先代は、アクティブ指向の若者がメインターゲットにあった。

欧州では、それで成功を収めるも、日本では、少し事情が異なった。

サイズと価格からルーテシアの上位機種とも受け取られ、オーナー層も比較的高めに。その結果、遊び心のある内外装とは裏腹に、シックなカラーやレザー内装が好まれるなど、少し本流から外れていたのだ。

その点、新型は、日本のユーザー層からの期待を裏切らないものだろう。

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