【355psのディーゼル・スポーツ】アルピナD3 Sツーリングへ試乗 初のマイルドHV

公開 : 2021.02.12 10:25

アルピナ史上初のハイブリットとなる、D3 Sツーリングに英国編集部が試乗。ブランドらしいレシピに仕上がっていると評価しています。

少量生産を忘れるほど流暢な仕上がり

text:Richard Lane(リチャード・レーン)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
極めて滑らかな仕上がりの、アルピナD3 Sツーリング。その完成度の高さから、少数のみが作られるモデルだということを忘れてしまいそうだ。

アルピナは古くからBMWとの親密な関係性を維持し、シルクのようなクルマのベースに用いてきた。今回取り上げるのは、ラインナップの中では最も人気が高く、価格が手頃なディーゼルエンジンのD3 S。ボディはステーションワゴンのツーリングだ。

アルピナD3 Sツーリング(英国仕様)
アルピナD3 Sツーリング(英国仕様)

2013年から2018年にかけてアルピナは、D3のツーリングを790台、D3のサルーン、リムジンを460台販売している。売れ行きの良いスーパーカーより、はるかに台数は少ない。貴重さがうかがえるだろう。

台数は限られていても、D3はアルピナにとって貴重な収益を支える存在。欧州全体でディーゼルエンジンの販売は急速に減少傾向にあるが、アルピナの大黒柱として後継モデルの登場となった。

最新のD3がベースとするのは、リムジンでは最新のG20型BMW 3シリーズで、ツーリングは同系のG21型。英国への上陸も、いよいよ始まっている。

見た目は、基本的にはガソリンエンジン版のB3と同じ。トランクリッドに付くエンブレムが、BからDに変わる程度。ちなみにBはベンゼン、ガソリンの略となる。B3は、詳細にクルマをテストするAUTOCARのロードテストで、満点を獲得している。

M340dから15psと3.0kg-mの増強

微妙に長さを伸ばしたフロントスカートや、凄みを利かせるマフラーカッターなどが、3シリーズとのわかりやすい違い。オプションながら、鍛造の20インチ・マルチスポークのホイールも、足元からアルピナらしい姿を引き締める。

アルピナD3の英国価格は、5万5000ポンド(770万円)から。メルセデスAMGのライバルとなる、Mディビジョン謹製のエンジンを搭載したM3の7万5000ポンド(1050万円)より、ずっと安価に設定されている。

アルピナD3 Sツーリング(英国仕様)
アルピナD3 Sツーリング(英国仕様)

価格でいえば、アウディS4アバントの方に近い。といっても、BMW M3を含めたとしても、ライバルはほとんどいないクラスといえる。

すべてのアルピナD3は、一度BMWでM340d xドライブとして生み出される。そして、大きな変更を受ける。

手初めに、BMW製の3.0L直列6気筒マイルドハイブリッド・ディーゼルへ、アルピナ仕様の冷却システムが組み付けられる。2枚の大きなラジエターとインタークーラー、専用の電動ファンで構成されるものだ。

エンジンからは、最高出力355ps、最大トルク74.2kg-mが引き出される。M340dと比較すると、15psと3.0kg-mの増強となる。燃費は15.9km/Lから13.2km/Lへ低下するものの、それでもアウディ製のV6エンジンよりは良い。

さらにドライブシャフトが強化され、B3と同様のシャシー・チューニングも施される。フロントタイヤのキャンバー角が強められ、専用のサスペンション・スプリングとダンパーが装備される。

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