【新たな始まり】メルセデス・ベンツEQSプロトタイプへ助手席試乗 航続距離は最大769km

公開 : 2021.04.07 08:25  更新 : 2021.05.14 07:41

メルセデス・ベンツとしては初めて、純EVに特化したモデルとなるEQS。523psと769kmの性能を誇るリムジンの試作車へ、英国編集部が一足先に試乗しました。

EV専用プラットフォーム採用の初モデル

text:Greg Kable(グレッグ・ケーブル)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
メルセデス・ベンツEQSは、まったく新しい純EVだ。エレクトリック・ビークル・アーキテクチャ、EVAプラットフォームを初採用したモデルでもあり、フラッグシップ・サルーンとして重要な意味を持っている。

既にメルセデス・ベンツは、3種類の純EVをサブブランドのEQモデルとして発売している。しかしEQAEQCEQVのいずれも、既存モデルがベース。従来のプラットフォームを改良し、純EVに仕立てられている。

メルセデス・ベンツEQSプロトタイプ
メルセデス・ベンツEQSプロトタイプ

テストプログラムの責任者を務めるホルガー・エンツマンは、EQSを「新たな始まり」だと表現する。今回AUTOCARでは彼の立ち会いのもと、生産モデルに近いプロトタイプを味見させてもらう機会を得た。

EQSのEVAプラットフォームは、アルミニウム製。滑らかなボディも、複合素材ではなく金属が用いられている。従来のエンジンを搭載したメルセデス・ベンツ製モデルと形が異なることは、偽装をまとっていても明らかだ。

スリーポインテッド・スターがあしらわれる、パネル状のグリルが見える。ボンネットの造形は、新しい時代の幕開けを告げるものだといえる。

ボディサイズは少し掴みにくい。全長は5210mmもあり、ロングホイールベース版のSクラスよりわずかに短い程度。存在感はかなりある。プロトタイプは21インチのホイールを履き、写真で見る以上に大胆な雰囲気を放っている。

当初はEQS 400かEQS 580の2種類から

フレームレスのドアを開くと、メルセデス・ベンツがハイパースクリーンと呼ぶ、ほぼ全面がモニターのダッシュボードに迎えられる。従来的なデザインとハイテクが融合した空気感がある。

ハイパースクリーンは3面のモニターで構成され、EQSの操作系のほとんどを統合している。こちらも大胆だ。

メルセデス・ベンツEQSプロトタイプ
メルセデス・ベンツEQSプロトタイプ

ホイールベースは3200mmと長く、車内にはトランスミッション・トンネルと呼ばれる中央の峰もなく、フロアは広くフラット。Sクラスより広々している。インテリア素材の質感は高く、ピタリと組み立てられている。EQのSに相応しい贅沢さがある。

ドライブトレインは、ボッシュ社製のAC同期モーターを採用。333psのシングルモーターで後輪駆動となるEQS 400か、ツインモーターで523psの四輪駆動となるEQS 580の、2種類が当初は用意されるという。

今回助手席に試乗させてもらったのは、パワフルなEQS 580。走り始めから威風堂々とした雰囲気があり、助手席に座っていてもSクラスのように誇らしい。

特に印象的だったのが、動的性能の全体的な力強さ。2500kgを遥かに超えるという車重にも関わらず、確かな推進力を体感できた。

ツインモーターのEQS 580の場合、主に駆動力を担うのはリアモーター。最大トルクは84.3kg-mもあり、AMG並みの瞬発力を持つ。160km/hを超えても、加速力には勢いがある。

メルセデス・ベンツはまだ正式な数字を明らかにしていないものの、0-100km/h加速は5秒を切るだろう。最高速度は210km/hでリミッターがかかる。

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