【トライデントの完全復活】マセラティMC20へ試乗 自社開発の3.0L V6 630ps 前編

公開 : 2021.05.22 08:25

スーパーカー・クラスへの復帰を果たしたマセラティ。自社開発のV6ビトゥルボにカーボン製シャシーを備え、高性能と扱いやすさを両立させたようです。

もくじ

構想から2年で仕上げたミドシップ
マセラティの優れた地位を確立する
カーボンを多用した機能的なデザイン
自社開発の90度3.0L V6 ビトゥルボ

構想から2年で仕上げたミドシップ

text:Greg Kable(グレッグ・ケーブル)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
マセラティは、失敗の許されないプロジェクトだと深く理解していたようだ。経営に余裕はない。スペック表には、高性能ライバルに引けを取らない数字が並ぶ。ブランドを未来へ導くように。

伝統と格式あるイタリアの自動車メーカー、マセラティ。独自開発としては初となるミドシップモデルが、ついに姿を現した。MC20は新しい時代の幕開けだと、自ら力強く表現している。

マセラティMC20(欧州仕様)
マセラティMC20(欧州仕様)

これまでのマセラティとは、一味違うモデルでもある。最先端のデジタル技術を駆使して設計され、構想からたった2年で、2シーターのスーパーカーを量産にこぎ着けている。

モータースポーツでの経験をもとに、コンピューターによるシミュレーションと一般的な路上試験を組み合わせ、ラピッド・プロトタイプの仕上がりを詰めた。「プロジェクトを始めるに当たり、これまでとは異なる手法を取ろうと決めたのです」

MC20の開発責任者、フェデリコ・ランディーニが説明する。「開発の大部分は、モータースポーツ分野での新パートナーと協働し、デジタル環境で進められました。ボディやシャシーだけでなく、エンジン開発も含まれます」

「新しいプロセスは、目標の期限通りにクルマを発売するための、カギとなるものでした。それ以外の手法では困難だったでしょう」。マセラティにとって、本当に新しいチャレンジだったのだ。

一方でMC20というモデル名は、マセラティが21世紀初頭に決めた従来のルールに則っている。MCは、マセラティ・コルサ(レーシング)の略。数字はモデル名が発表された年、2020年を表す。

マセラティの優れた地位を確立する

英国価格は18万7230ポンド(2808万円)から。ライバルとして見据えているのは、ミドシップのスーパーカーたち。フェラーリF8トリブートやランボルギーニ・ウラカン、新しいマクラーレン・アルトゥーラなど、ツワモノばかりだ。

MC20は、イタリア・モデナでの生産が始まったばかり。英国へは、2021年の半ば以降へ到着する予定だという。マセラティが見込む年間生産台数は、今回試乗したロードゴーイング仕様と、追って登場するレーシング仕様を合わせて1500台となっている。

マセラティMC20(欧州仕様)
マセラティMC20(欧州仕様)

新モデル開発の狙いは、スーパーカーやモータースポーツ分野での、マセラティの優れた地位を確立すること。ギブリやレヴァンテ、クアトロポルテといった台数を見込めるモデルで、スポーティさや技術的な先進性といったイメージを、一層高めたいと考えている。

これは、マセラティが以前から試みてきた手法。1971年には、初のミドシップ・スーパーカーとしてボーラが発売されている。こちらは単独ではなく、シトロエンの力を借りていた。

MC20の基礎をなすのは、カーボンファイバー・モノコック。内燃エンジンだけでなく、純EVにも対応できるように設計されている。モノコックの前後には、アルミニウム製のサブフレームが組まれる。

このモノコックは、マセラティが量産してきたクルマの中で最も剛性に優れるという。2004年に少量生産された、高度なエンツォ・フェラーリがベースのMC12をも上回っている。それでいて、MC20の車重は1475kgと比較的軽量だ。

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