【年間250万トンの削減目標】ボルボ 部品再利用で排出量削減 EV用バッテリーの長寿命化も

公開 : 2021.06.09 07:05  更新 : 2021.07.08 13:04

ボルボは自動車部品のリサイクルを拡大することでCO2排出量を削減し、循環型ビジネスの構築を目指します。

ブレーキからエンジンブロックまで

text:Jesse Crosse(ジェシ・クロス)
translator:Takuya Hayashi(林 汰久也)

ボルボ・カーズは、部品の再利用と再生産を大規模に行うことで、年間250万トンの二酸化炭素排出量の削減を計画している。

同社が「循環型ビジネスの原則」と呼ぶこのプロセスでは、スチールやアルミニウムなどの主要材料のリサイクル、トランスミッションなどの複雑な部品の再生産、個々の部品の再調整などが行われる。

ボルボは昨年、約4万個の部品を再生産し、3000トンのCO2を削減。生産廃棄物の95%(17万6000トンのスチールを含む)をリサイクルして64万トンのCO2を削減した。

また、ボルボは、バッテリー再利用を手がけるバッテリー・ループ社と協力して、高電圧のEVおよびハイブリッド車用バッテリーのセカンドライフの可能性を探っており、2040年までに完全にリサイクルされた部品を使用する「完全循環型ビジネス」になることを目指している。

対象となる機械部品には、ブレーキキャリパー、電動リアアクスル、コンプレッサー、ジェネレーター、サスペンション、シャシー部品、EV用トラクションモーターのほか、エンジンブロックやシリンダーヘッドなどがある。

新品に比べて約85%の排出量減

ボルボ・カーズの戦略・サステナビリティ部門の責任者であるアンダース・カーバーグは、次のように述べている。

「このプロセスを実行することは、サステナビリティ上の大きなメリットがあります。新品の部品と再生部品を比較すると、約85%のCO2を削減できます。バージン材の消費量削減という点でも、大きなメリットがあります」

電動モデルが急速に増加する中、バッテリーの再利用や廃棄が課題となっている。
電動モデルが急速に増加する中、バッテリーの再利用や廃棄が課題となっている。

カーバーグは、キャリパーなどの部品は3~4回の再生が可能で、設計の進化に伴って交換されるまでの期間を20年まで延ばすことができると説明している。

「わたし達は、今後40年間で金属や鉱物の消費量を2倍にしようとしていますが、一方で廃棄物はますます増えています。これでは持続可能とは言えません。廃棄物だけでなく、大量のCO2も発生しているのです」

「パリ協定を達成し、CO2を削減するためには、より多くのリサイクルと再生産を行わなければなりません。だからこそ、ボルボのような企業は根本的な変化を迫られているのです」

「循環型経済は重要ですが、わたし達はこれにビジネスチャンスを見出しており、材料をより効率的に使用し、再生産することで経済的利益を得られると考えています。環境にも良いですが、ビジネスにも良いのです」

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