【BL一筋に50台以上】メトロ・バンデンプラにローバーSD1 エンスージァストの血筋 後編

公開 : 2021.07.11 17:45

ブリティッシュ・レイランドのモデルを救い続ける1人の英国人。カーズリーが大切に維持するコレクションを、英国編集部がご紹介します。

英米を空輸されたティックフォード・メトロ

text:Martin Buckley(マーティン・バックリー)
photo:John Bradshaw(ジョン・ブラッドショー)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
フレーザー・ティックフォード・メトロは、ポルシェ・デザインのホイールを履き、アルカンターラの天井に専用ダッシュボードが与えられている。アストン マーティンの当時のボスが、自身の母のために作らせたのがモデルの起源だ。

アンソニー・カーズリーが所有するティックフォード・メトロは1981年式で、写真家のリック・マクブライドが注文した1台。標準の1.3Sをベースに、当時アストン マーティンの傘下にあったティックフォードがコンバージョンしている。

バンデンプラ・プリンセス1500(英国仕様)
バンデンプラ・プリンセス1500(英国仕様)

ノーマルのメトロは5000ポンドで買えたが、エンジンに改良も施され、オーナーには1万5000ポンドの追加費用が請求された。

マクブライドは朝鮮戦争時代から活躍していたベテラン。ロサンゼルスで広告代理店を経営し、ビバリーヒルズではデ・トマソのディラーも営んでいた。パンテーラというモデル名を決めた本人だという説がある。

北米市場にメトロを展開すべく、マクブライドは1981年のロサンゼルス・オートショーにティックフォード・メトロを出展。だが、1台も売れなかったという。

それでもメトロへの気持ちは変わらず、ロサンゼルスと英国ケントとの間を、何度も自信と一緒に移動している。「道路より、空路で移動した距離の方が長いでしょうね」。走行距離は1万6000kmにも達していない。

台数ではメトロが圧倒的だが、カーズリーが最も大切にしているのがローバーSD1。筆者は8台まで数えたが、もっとあるらしい。特に1番を挙げるなら、元外交官が所有していたというEFIバンデンプラと、ヴィテッセ。

4.6LのV8エンジンを載せたローバーSD1

彼は、ローバーSD1のオーナーズクラブのサポートを高く評価している。シリーズ1のバンデンプラは、6名のオーナーを通じてレストアされてきた個体だという。手に入れた時は、フルレザーの内装も整った状態だった。

もう1台は、ベバスト・ルーフに4600のエンブレムが就いた1台。「パリ・ダカール・ラリーのために、4.6LのV8エンジンを載せたヴィテッセをBLが用意したようです」

アンソニー・カーズリーの所有するローバーSD1の一部
アンソニー・カーズリーの所有するローバーSD1の一部

「ラリーでの活躍はわかりませんが、エンジンは戻ってきて、デモ車両としてこのSD1に積まれました。レスターのディーラーを通じて販売されています。1度しか運転していませんが、驚異的な走りですよ」
 
オランダからやってきた3.5L V8エンジンの白いSD1もある。「このスペックのクルマは、他に見たことがありません。機会を逃さず、オランダのBLディーラーから実物を見ずに購入しました。再塗装すれば、ショーカーのようになるでしょうね」

マルーンのSD1 2600は、フランスで購入したらしい。「左ハンドルで、シフトチェンジの感触がまったく異なるんです。6気筒の2600は、欧州大陸に適するように設計されています。フランスでも愛されていたことでしょう」

「エンジンはスイートに回り、トルクフルですよ」。カーズリーが説明を続ける。

近年、泣く泣くオースチン・マエストロとモンテゴを削ったという。だが、2.0Lのカントリーマンは手放すつもりがない。「多くはディーゼルエンジンでした。左ハンドル車でこのスペックは唯一かもしれません」

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