【飛躍的に2代目を超えた】新型 日産キャシュカイへ英国試乗 1.3LマイルドHV 前編

公開 : 2021.07.04 08:25

欧州の日産にとって、欠くことのできないモデルがクロスオーバーのキャシュカイ。モデルチェンジされた3代目を、英国編集部が評価しました。

英国でデザインから生産までを担う

text:James Disdale(ジェームス・ディスデイル)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
英国人にとって、特別な思い入れのある日産キャシュカイ。英国の自動車産業として、最大のサクセスストーリーの1つといえる。日本ではかつて、デュアリスの名で売られていたクルマだ。

間違いなく日産車ではある。しかし設計から生産まで、ほぼすべての工程が英国で進められている。英国産のクロスオーバーといって構わないだろう。しかも欧州では、トップチャートへ頻繁にランクインするほどの人気モデルでもある。

日産キャシュカイ 1.3 DiG-T テクナ+(英国仕様)
日産キャシュカイ 1.3 DiG-T テクナ+(英国仕様)

3代目のデザインはロンドンにあるデザインスタジオが、技術開発はクランフィールドのテクニカルセンターが担当した。そしてサンダーランドの工場で生み出される。

クロスオーバーというカテゴリーを生み出した1台であり、広く普及させた代表モデルでもある。初代が誕生したのは2006年。2代目へ生まれ変わっても支持を集め続け、これまでに300万台以上がオーナーのもとへ渡ってきた。

オフローダー風の少し無骨なスタイリングに、ファミリーユーザーにもうれしい実用性を兼ね備え、一般的なSUVより運動神経に優れる。初代から、しっかり特長を持ち合わせていた。

英国ではCセグメントのクロスオーバーの中で、2代目キャシュカイは1番人気だった。英国日産の10%の売り上げを占めるほど。しかし15年前は孤高の存在だったとしても、現在では同じカテゴリーに30台以上のライバルがひしめいている。

主張を強めたボディデザイン

日産も、モデルチェンジするキャシュカイが、過去の栄光に甘んじることができないと理解している。車内空間を広げ品質を高め、テクノロジーを強化し、運動特性を磨いた。ディフェンディング・チャンピオンとして戦うために。

難しい競争へ挑む3代目として、デザインは保守的な路線を選ばなかった。ヘッドライトはシャープさを強め、ボディ全体に大胆なカーブが与えられている。タイヤが四隅に配置された容姿は、2代目より明確に主張が強い。

日産キャシュカイ 1.3 DiG-T テクナ+(英国仕様)
日産キャシュカイ 1.3 DiG-T テクナ+(英国仕様)

初代のキャシュカイに通じる雰囲気も残されつつ、魅力ある見た目に仕上がっていると思う。欧州では2代目が売られているジュークと同様に、ツートーンカラーのルーフも標準装備。テクナ+と呼ばれるトリムグレードの場合、ホイールは20インチと大きい。

3代目キャシュカイの骨格となっているのは、新しいCMF-Cアーキテクチャ。全長は35mm、全幅は32mm、全高は10mmと、ひと回り大きく成長しているにも関わらず、車重は60kgも軽く仕上がっている。ねじり剛性は48%向上したという。

軽量化に結びついているのが、ドアやボンネット、フロントフェンダーなどに用いられたアルミニウム。ほかにも高張力鋼板を積極的に採用したほか、テールゲートはコンポジット素材でできている。

ボディの成長に伴い、車内空間にもゆとりが生まれた。従来からのキャシュカイ・ファンにとっては、気になる部分の1つだろう。

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