【厳しさ増す環境規制】欧州連合、2035年にエンジン車禁止か 新たな排ガス目標提案

公開 : 2021.07.16 06:05

EUは自動車業界に対し、現在の施策より厳しい環境規制の導入を検討。ハイブリッド車も販売禁止になる恐れ。

2035年までにCO2を100%削減

text:James Attwood(ジェームズ・アトウッド)
translator:Takuya Hayashi(林 汰久也)

欧州連合(EU)は、温室効果ガスの排出量を大幅に削減するための施策の一環として、ハイブリッド車を含むすべてのガソリン車およびディーゼル車の新車販売を2035年以降、事実上禁止することを検討している。

EUの行政機関である欧州委員会は、クルマのCO2排出量を2030年までに現在のレベルから55%削減し、2035年までに100%削減することを提案している。これにより、EU加盟27か国では、EV以外のクルマを販売することが事実上不可能になる。

新規制が導入されれば、メーカーは対応をさらに加速させる必要がある。
新規制が導入されれば、メーカーは対応をさらに加速させる必要がある。

この新しい目標は、2030年までにCO2排出量を37.5%削減するという現行の対策を大幅に上回るものだ。目標はますます厳しくなっており、自動車メーカーはEUからの重い制裁金を避けるために、すでにEVのラインナップを劇的に増やすことを余儀なくされている。

重要なのは、今回の提案では、少量生産メーカー(年間の新車生産台数が1000台から1万台のメーカー)に対する排出ガス規制の免除措置が撤廃されることだ。

この新たな目標により、EUと英国の目標はほぼ一致することになる。英国政府は、2030年までにゼロ・エミッション車以外のほとんどの新車販売を禁止する予定だが、一部のプラグイン・ハイブリッド車は2035年まで販売を継続することが認められている。

ベントレー、フォード、オペル、ヴォグゾール、ボルボなどの大手自動車ブランドは、2030年までに欧州でEVに完全に切り替える計画をすでに発表している。

EU加盟国からの抵抗も

欧州委員会の提案には、「ゼロ・エミッション車の販売に合わせて」EVの大量導入に必要なインフラを強化するための法案も含まれている。

具体的には、2025年までに加盟国が主要道路沿いに、バッテリー式EV(BEV)の場合は60km以内、水素燃料電池車(FCEV)の場合は150km以内の間隔で、公共の充電・補給ポイントを設置するという内容が含まれている。

ロンドンなど一部都市ではすでに、高年式車など環境負荷の高いクルマに対し通行税を課すといった規制が実施されている。
ロンドンなど一部都市ではすでに、高年式車など環境負荷の高いクルマに対し通行税を課すといった規制が実施されている。

欧州連合(EU)のアディナ・イオアナ・ヴァリーン運輸担当委員は、今回の措置について、次のように述べている。

「持続可能な代替燃料と低炭素技術の市場を創出するとともに、ゼロ・エミッションの自動車や船舶を広く普及させるための適切なインフラを整備します」

「モビリティと物流のグリーン化にとどまらず、EUを最先端技術のリーディング・マーケットにするチャンスでもあります」

欧州委員会の提案は、法律として成立するためには欧州議会の承認を得る必要があるが、加盟国からの抵抗を受ける可能性がある。

Bloombergの報道によると、フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、PHEVをより長く販売できるようにすることを望んでいるという。マクロン大統領は最近、グループ・ルノーやステランティスなどの自動車メーカーの幹部と会談した。

ドイツのアンドレアス・ショイヤー運輸相は、この提案の発表に先立ち、自動車業界が対応することは現実的に困難であると指摘した。

この排出量目標は、2050年までにEUを気候変動に影響を与えない地域にするための一連の施策の一環であり、EUは目標について、世界の気温上昇を2℃以下に抑えるというパリ協定の目的に沿ったものであると述べている。

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