【一度限りの復帰】BTCC元王者 アンドリュー・ジョーダン カローラのテスト車両でレース参戦

公開 : 2021.08.28 06:25

BTCCのハイブリッド・テスト車両に元王者のジョーダンが乗り込み、一度限りのレース復帰を果たします。

テスト車両で限定的にレース復帰

執筆:Damien Smith(ダミアン・スミス)
翻訳:Takuya Hayashi(林 汰久也)

元BTCC王者のアンドリュー・ジョーダンは、9月25日と26日にシルバーストン・サーキットで開催されるレースに参戦するが、それは「幽霊」のような復帰に過ぎない。

というのも、ジョーダンは2022年にBTCCに導入される予定のハイブリッド技術のテストのため、トヨタカローラ・ハイブリッドのテスト車両に乗るからだ。一般の人々に新技術を一足先に披露し、運営も経験を積むことを目的としており、ジョーダンについては、チャンピオンシップの邪魔をしないよう厳命されているのである。

アンドリュー・ジョーダン
アンドリュー・ジョーダン

「テストに巻き込むわけにはいかないので、ピットレーンからのスタートになります」とジョーダンは語る。

「何をしていいのか、何をしてはいけないのか、完璧な説明を受けることになるでしょう。小さな文字を読まされるでしょうね……。それは、ハイブリッドを一般の人々の前で披露するためです」

「レースでは、最後尾に近い位置で予選を通過することになると思います」

BTCC責任者のアラン・ゴウは、スピードワークス・モータースポーツがコスワース・エレクトロニクスと共同開発しているハイブリッドシステムによって40psの出力アップを実現し、ラップタイムを最大15秒縮めることから、このハイブリッドマシンが最速になるはずだと予想している。

ドライバーは「テスト人形だ」

ジョーダンは、昨年のロックダウンの余波でBTCCから退いた。紆余曲折を経て費用もかさんだが、現在は父のマイクと一緒にレストアのビジネスを立ち上げることに専念している。しかし、BTCCの世界に戻って新技術をテストすることについては「面白い」と話している。

「ドライバーは、電子機器を管理する賢い人たちのテスト用の人形に過ぎません。でも、いい仕事ですから、文句は言えませんよ。レースカーを運転してお金をもらえるというのは、いつでも嬉しいものです」

トヨタ・カローラをベースとするハイブリッドのテスト車両
トヨタ・カローラをベースとするハイブリッドのテスト車両

「あの頃のクルマに戻って運転するのもいいものです。コーナーでのブレーキのかけ方を思い出すのは、それなりに難しいものですからね。今までと比べると、かなり遅くなっているように感じます」

BTCCでハイブリッド・パワー・ブースト機能をどのように使用するかについては、まだ詳細が決まっていないが、現在のバラスト・システムは完全に廃止され、レース結果に応じてブーストレベルのバランスを取ることになると予想される。

ジョーダンは次のように述べている。

「(ブーストの使用は)戦略的なものになるでしょう。単なるオーバーテイクボタンではなく、ディフェンスにも使えるようになるんです。もし、サクセス・バラストを廃止して、ブースト量に応じてパフォーマンスのバランスを取るようになれば、もっと大きな影響を与えられるでしょう」

「優秀なチーム、マシン、ドライバーであれば、他のチームよりも重量をうまく扱うことができますが、重量が同じでハイブリッド・ブーストがない場合は、バラストを使用したときのように悪い状況をうまく乗り切ることができません。それでも、賢いドライバーは、レース中にうまく使いこなすことができるでしょう」

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