ベントレー・コンチネンタルGTスピード&GTCスピード 飯田裕子が比較試乗

公開 : 2022.07.21 20:25

ベントレー・コンチネンタルGTスピード&GTCスピードに試乗。多芸多才なパートナーといえるクルマです。

コンチネンタルGTスピードと過ごす時間

「あっという間だな」

東名高速に入ったあたりですでに名残惜しくなっていたベントレー・コンチネンタルGTCスピードとのドライブ。

今回の旅では、ベントレー・コンチネンタルGTスピード&GTCスピードに試乗。
今回の旅では、ベントレー・コンチネンタルGTスピード&GTCスピードに試乗。    ベントレー・モーターズ・ジャパン

この日は都内から箱根は強羅の温泉宿を目指していた。

復路はクーペモデルのGTスピードのハンドルを握ることになっていたのだが、いずれにせよこの移動時間の充実感や幸福感は高価なモデルだからとか、6L W12エンジンを搭載する「ベントレー史上最高のパフォーマンスを誇るロードカー」の単なる速さだけが名残惜しさを生んでいたわけではない。

大前提にあるのは高精度に整えられた静的/動的性能が生む相互作用がそこに乗る人の心身を満たすということなのだ。

ベントレーなら当たり前と思われるかもしれないが、そんな当たり前のなかにあるこだわりの感性、品質や演出に目を向けてこそベントレーの魅力が増すというものではないか。

例えば静的なデザインの高いクオリティ。クラシカルモダン&ラグジュアリーな世界に魅了され昂揚もすれば癒やされもする。

伝統を保ちつつ進化を続ける工芸品に囲まれるようなキャビンは最新の「ローテーションディスプレイ」がクルクルと表示を変える仕組みも含め、組みつけや動作にいたる隅々の品質を整え保ってこそ成立する。

素材で表情を変えるウッドやインテリアに華を添えるかのごとくレザーの随所に施されるステッチの色や太さやピッチ、金属の細工とその輝度までこだわり丁寧につくり込まれるからこそ、これからオーナーになろうという方々は素材や色選びを心から楽しもうと思えるだろう。

この日もそうだった。

ゆったりとシートに体重を預け、滑らかな走りも相まってGTCスピードのキャビンで過ごす時間がたちまち愛おしくなったのだ。

目指すお宿で寛ぐ時間を想像しながら、一方でGTCスピードとのドライブがもっと続けばいいのに、と。

街中の喧噪から隔離された格別な空間

3世代目となるコンチネンタルGTはV8 4Lツインターボクーペ(550ps/78.5kg-m)エンジン搭載モデルから登場し、この「スピード」モデルにはベントレーのエンジンラインナップ中最強となる6L 12気筒エンジン(659ps/91.8kg-m)の改良型が搭載されている。

すでに安定/安心と操る楽しさをあわせ持つシャシー制御の秀逸ぶりは知るところではあるが、さらにe-LSDという新たなシャシー技術も初採用されパフォーマンスは向上。速さ以上の魅力を速さを成立させるべく保たれた性能の懐で味わうことができる。

ベントレーGTCスピード
ベントレーGTCスピード    ベントレー・モーターズ・ジャパン

静粛で乗り心地も良いGTCスピードはむしろ街中のほうが特別な印象を抱けるかもしれない。

街中の喧噪から隔離された格別に居心地の良い空間は必要な音、足元の感触だけを伝えてくれるがほかは取り除かれているのだ。

高速道路でもソフトトップを閉じた状態の静粛さはクーペモデルと遜色ない。

W12 6Lツインターボエンジンの加速はなんと淀みなく豊かなことだろう。

ボリューム感たっぷりのトルクをアクセルペダルの重みで感じながら、ドライバーの意思(ペダル操作)によって人間が呼吸をするように自在にコントロールできる。

このストレスフリーなコントロールの精良さはベントレー共通だが、この贅沢なボリューム感はこのエンジンを搭載するモデルにのみ与えられた豊かさの象徴だ。

高速走行中、わずかなペダル量を維持するだけで巡航するベントレーGTCスピードの車内ではアップル・カープレイでスマートフォンの音楽を聴き、このプライベート空間からますます離れがたくなったのだった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    飯田裕子

    Yuko Iida

    免許を取るまではクルマにまったく興味がなかった女子だったが、山に囲まれた実家の近くは折しも峠ブーム。ドライビングやスポーツカーへの興味を抱くようになる。自動車メーカーでOLをしながら弟(飯田章)とレース活動をスタート。退職後「クルマ×人(中心)×生活」をテーマとするジャーナリストに。現在の愛車はポルシェボクスター(981)

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