国内最速試乗 ポルシェ・マカンT 街乗り〜ワインディング 弱点見つからず

公開 : 2022.07.22 11:45

ポルシェ・マカンTに国内最速で試乗しました。4気筒マカンの最高位グレードに弱点は見当たりません。

4気筒の上位モデル、待ち望まれていたT

日本でのデリバリーがはじまったばかりのポルシェ・マカンTのステアリングを握ることができた。試乗コースは東京都内から富士五湖の往復だ。

2013年にデビューしたポルシェSUVの末っ子は日本にもすっかり浸透している。平日の都心のみならず、カントリーサイドでもその姿をけっこう見かける。

ポルシェ・マカンT
ポルシェ・マカンT

近年販売されたポルシェの3台に1台はマカンなのだから、これは当たり前なのかもしれない。

2018年にマイナーチェンジに続き、昨年も改良モデルとしてラインナップが再編されたマカン。その顔触れはV6を搭載するマカンSとGTSという2モデルに対し、直列4気筒モデルは昨年末にマカンTが発表されるまでベースモデルだけだった。

直4モデルに専用装備やチューニングを盛り込んだマカンTのデビューは待ち望まれたものだったに違いない。

マカンTが搭載する直列4気筒ターボ・エンジンのスペックはベースモデルと同じ265ps。

外観はアゲートグレーに塗られたフロントのスプリッターやサイドミラー、ルーフスポイラーといったパーツがT専用となる。

シャシーは3段階でショックアブソーバーのレートを可変させるPASMや車高を15mm下げる専用スプリングとスタビ、さらにマカンS用の20インチホイール等によってキャパシティが上げられている。

キャララホワイトでペイントされた試乗車も専用パーツや黒いウインドウトリム、そして前後の4灯LEDのランプ類により上位モデルと遜色ない質感を与えられている。

ではその走りはどうだろう?

太いタイヤを手なずけるPASMのアシ

外観で気になったのは、ボディからはみ出さんばかりの前265、リア295というマッチョな20インチタイヤだ。

4気筒モデルにもかかわらず、タイヤ幅は上位グレードと同じで「目いっぱい」ということになる。

20インチ・マカンSホイール(ダークチタン塗装)
20インチ・マカンSホイール(ダークチタン塗装)

インテリアは黒基調でスポーツシートを標準装備。シートの中央には暑い季節でも爽やかな座り心地を提供してくれる「Sport Tex」というざっくりした織の生地が用いられている。

走りはじめると、これぞポルシェという引き締まったシャシーの印象に襲われる。

以前乗ったベースモデルとはまるで違う濃密な感じ。ステアリングのセンター付近に少しも遊びがなく、太めのタイヤが全面接地している感覚が濃密なのである。

「まるで911のような」という表現で間違っていないと思う。

接地感が強くステアリングに遊びがないと、堅苦しいドライブフィールを想像してしまう。だが実際には広いカバレッジでダンパーの硬さを的確に変化させるPASMのおかげで、「極太タイヤにも関わらず」実用的なクロスオーバーSUVとしてのキャラクターもちゃんと享受することができている。

ステアリングスポークの右下にある走行モードのスイッチでノーマルを選べば、ポルシェらしい精度の高い、しかしラグジュアリーな乗り心地を体感できる。

一方走行モードをスポーツにすると、瞬時にタイヤのグリップ感がクローズアップされ、ロールやピッチングも減り、スポーツカーの表情に変わる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。BMW 318iコンパクト(E46)/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 神村聖

    Satoshi Kamimura

    1967年生まれ。大阪写真専門学校卒業後、都内のスタジオや個人写真事務所のアシスタントを経て、1994年に独立してフリーランスに。以後、自動車専門誌を中心に活躍中。走るのが大好きで、愛車はトヨタMR2(SW20)/スバル・レヴォーグ2.0GT。趣味はスノーボードと全国のお城を巡る旅をしている。

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