クルマ漬けの毎日から

2022.03.05

クロプリー編集長のコラムが、英国の週刊自動車誌『AUTOCAR』の1992年2月26日号でスタートしてから30周年に! 日本版では2005年10月より、英国版コラムの一部をお届けしています。

【クロプリー編集長コラム】コラム30周年に想うこと

もくじ

初回コラム 1992年2月26日
今後も 伝えていきたいこと

translation:Kaoru Kojima(小島 薫)

初回コラム 1992年2月26日

このコラムを書き始めて、30年が経過した。

毎週のAUTOCAR誌に掲載されるこのコラムは、掲載されたその週にだけ価値があると考えるならば、長期的な意味を持つことをそこに書こうとするのは的外れであろう。

しかし、なにか大きな間違いが発覚してお役御免になったりせずに、30年間書き続けてこられたことを大変光栄に思っている。

1992年2月26日号のAUTOCAR誌に掲載された初回コラム。

実際、毎週660語(英語)で1520号にわたるAUTOCAR誌にコラムを書き、またこの間に累計5000万冊のAUTOCAR誌が販売されたが、このコラムは私にとって決して退屈な仕事ではなく、喜びであり続けている。

また、これほど長くコラムを書き続けてきたことで、いくつかの考えにたどりつくことができた。

今後も 伝えていきたいこと

なかでも特に、クルマの未来は明るいということを、読者の皆さまにお伝えするのは重要だと私は考えている。

たとえば、官僚主義に行く手を阻まれながらも、それを乗り越えるために、今日の自動車業界がどのように「イノベーション」を起こしているかを、多くの人たちに知っていただきたい。

AUTOCAR JAPAN 10周年の2013年7月、横浜で開催されたコンクール・デレガンスで審査員を務めたクロプリー編集長。

また、ステランティスのタバレス、フォードのファーリー、ジーリーの李書福(リ・シューフー)などの自動車業界のリーダーたちが、先達がまったく経験しなかった複雑な課題に、どれほど冷静に取り組んでいるかということにも、目を向けていただきたいと思う。

かつて、メディアがこれほど多様で、また多目的であった時代はなかった。

AUTOCARの同僚たちが実際に示しているように、自動車ジャーナリズムは進化している。それに今日のクルマは、過去のクルマに圧倒的な差をつけて、最高のレベルにある。

そのおかげで、内燃機関時代の終焉を恐れる私の気持ちは和らいでいる。

クルマの未来をこのように楽観的に考えているのは、甘いだろうか?

そうかもしれない。なにしろこれは、現在のマーク・ティショーをはじめとする、AUTOCAR英国版の歴代の優秀なEditorと共に働く楽しみに恵まれ、また読者の皆さまからの多くのご支援にも恵まれてきた、幸運な者が考えていることだから。

とりわけ、30年という長期にわたって、あれこれと書いてきたことにお付き合いいただいているのは、私にとって大きな喜びであり、なんとも幸運な人生だと、節目を迎えたいま強く実感している。

あらためて、読者の皆さまに厚くお礼申しあげると共に、今後もお付き合いのほどよろしくお願いいたします。

スティーブ・クロプリー
AUTOCAR UK Editor-in-Chief

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    AUTOCAR UK Editor-in-chief。オフィスの最も古株だが好奇心は誰にも負けない。クルマのテクノロジーは、私が長い時間を掛けて蓄積してきた常識をたったの数年で覆してくる。週が変われば、新たな驚きを与えてくれるのだから、1年後なんて全く読めない。だからこそ、いつまでもフレッシュでいられるのだろう。クルマも私も。
 
 

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