クルマ漬けの毎日から

2024.11.11

ルーマニアのダチアの小型SUV「ダスター」に第3世代が誕生。その試乗会に先代ダスターを所有しているクロプリー編集長が参加しました。後半では「ダスター」の名前の由来についてもお伝えします。

新型ダチア・ダスター、先代よりも大きく進化!【クロプリー編集長コラム】

もくじ

新型試乗会場 オフロードの「採石場」
「ダスター」の名、どこから?

新型試乗会場 オフロードの「採石場」

translation:Kaoru Kojima(小島 薫)
新型ダチア・ダスター(後方の3台)の試乗会場に、愛車の先代ダスター(前方のブルー)で参加。

3年目の愛車ダチア・ダスターを運転して、ダービシャー(イングランド中部)のマトロック近郊にある巨大な採石場へ向かった。

今日ここで、ダチアUKは新型ダスターの試乗会を開催する。全面改良され、見た目も新しくなった3代目には、ルノーグループの新たなCMF-Bプラットフォームが採用されている(ダチアのサンデロとジョガーにもすでに使用)。

ダチアの宣伝で謳われているように、このプラットフォームは適応性の高い「フレキシブルなプラットフォーム」と認識している。とはいえ、極めて剛性が高いとされているシャシーを「フレキシブル(しなやか)」と表現するのは似つかわしくないかもしれないが。

先代のオーナーとして無視できないのは、新型ダスターはあらゆる点で私のダスターより優れていること。サイズはほぼ同じなのだが、もっと大型車に乗っているように感じる。

その理由はノイズ、振動、ハーシュネスが明らかに改善されたから。ロールも少なくなり、乗り心地はフラットになり、また操舵感も良くなった。新型にはディーゼルは存在しないので、1.2リッター(TCe 130)のマイルドハイブリッドのパワートレインが、私のダスター(ディーゼル)に一番近いモデル。

この1.2リッターは四輪駆動をじつに上手くドライブさせる。ただし今回のようなオフロードでは低速走行が必須なので、エンストさせずにエンジンを回し続けるには、クラッチを上手く使う必要がある。このTCe 130 4×4は、私の四駆のディーゼルよりも大きく進化している。買い替えるべきだろうか? 現在検討中である。

「ダスター」の名、どこから?

新型ダチア・ダスターの試乗会に出かけて2日後、数年前までヴォグゾールで社長を務めていたスティーブン・ノーマンと偶然話す機会があった。ノーマンはイギリスの自動車業界のなかでも非常に率直で、話して楽しいシニアマネージャーの1人。

かつてルノーに在籍していた時に、彼はダスター、キャプチャー、ドッカーなどの命名に関わった(ミニバンのロッジーや大型セダンのラティテュードという名も彼が付けたが、本人いわく「いまひとつ」)。そこで、ダスターという名の由来をノーマンに聞いてみた。

ノーマンによれば、2008年頃、ルノーにはいわゆるオックスフォードやケンブリッジのような有名大学の出身者が多数在籍していたという。だが、そのだれもがクルマのことをよく知っていたわけではなかった。

ある時、ルノーグループの会議に出席したノーマンは、近い将来登場するダチアのSUVに名前をつけるために、ルノーが代理店に大金を使おうとしていると知って驚いた。というのも、ルノーグループのダチアは、1980年代にすでに「ダスター」という印象的で素晴らしい名前を、かつて四駆を製造していたルーマニアの「アロ」という会社(すでに倒産)から取得していたから。

だが、ルノーはそのことに気づいていなかったのだ。ノーマンは会議の席で、この名前をダチアの新型SUVに採用することを即座に提案。高学歴の幹部たちが異議を唱えた一方で、ルノーのプレジデント、ダチアのプロジェクトチーフ、ルノーグループのデザイントップは全員、それは素晴らしいアイディアだと言って賛成した。

スティーブン・ノーマンという良識あるマネージャーのタイムリーな提案がなければ、「ダスター」という名がこの小型SUVに与えられることはなかったのだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    AUTOCAR UK Editor-in-chief。オフィスの最も古株だが好奇心は誰にも負けない。クルマのテクノロジーは、私が長い時間を掛けて蓄積してきた常識をたったの数年で覆してくる。週が変われば、新たな驚きを与えてくれるのだから、1年後なんて全く読めない。だからこそ、いつまでもフレッシュでいられるのだろう。クルマも私も。

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