60年の「ベスト・オブ・ベスト」 1960年代から2010年代まで 欧州COTYの1番を選ぶ(1)

公開 : 2024.02.11 17:45

欧州カー・オブ・ザ・イヤーが始まってから2024年で60年 これまでの受賞車で、ベスト・オブ・ベストはどれか? 英国編集部が1960年代からイッキ乗り

欧州COTYが始まってから60周年

1964年、ローバーP6 2000という新しいサルーンが、初の欧州カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)に選出された。それ以来、経験を積んだ自動車ジャーナリストで構成される審査員は、厳正な基準に基づき、年間のベスト・モデルを選び続けている。

クラスやカテゴリーを超えて評価され、幅広い実力が問われる、重要な意味を持つ賞だといえる。そして、2024年は欧州COTYが始まってから60周年という節目だ。

歴代の欧州カー・オブ・ザ・イヤー受賞モデル 英国編集部が選出した代表的な15台
歴代の欧州カー・オブ・ザ・イヤー受賞モデル 英国編集部が選出した代表的な15台

そこで英国編集部では、歴代の欧州COTYの受賞モデルから、特に優れた15台を抽出。最も評価すべき偉大なモデルはどれなのか、選んでみることにした。審査に当たったのは、過去に欧州COTYの選考経験を持つ3名だ。

1人目は、AUTOCARの英国編集長であるスティーブ・クロプリー。自動車ジャーナリストとしてのキャリアは、50年以上前に、母国のオーストラリアでスタートさせたという。1994年から2013年まで、欧州COTYの審査員を務めている。

続いて、マット・プライヤー。大学で自動車工学を学び、1997年から自動車ジャーナリストの道へ。AUTOCARでは、2005年から記事を執筆している。欧州COTYの審査には2013年から関わり、2022年に後輩へその座を譲った。

3人目が、レイ・ハットン。1970年にAUTOCARへ入社し、1984年まで編集に携わった。以降は独立し、世界各国の自動車メディアを中心に寄稿。欧州COTYの審査には1979年から2009年まで加わり、最後の11年は審査員長も務めている。

歴代の受賞車で最も重要なのは「いつ」の「どれ」か

さて、今回の企画にノミネートした15台は、過去60年における欧州COTYの代表的なモデルといえる。1960年代から1990年代まで、10年毎の3台と、2000年以降の3台を、英国編集部のメンバーが選び出した。沢山の議論を交えて。

こうして振り返ると、審査員は、その年の受賞車を最も高く評価していたとは限らないことが見えてきた。今回のラインナップをご覧になって、「あの受賞車が含まれていない」「なぜこのモデルが?」とお感じの読者もいらっしゃるだろう。

今回の審査に加わったメンバー、左からマット・プライヤーと、レイ・ハットン、スティーブ・クロプリー、筆者のサイモン・ハックナル
今回の審査に加わったメンバー、左からマット・プライヤーと、レイ・ハットン、スティーブ・クロプリー、筆者のサイモン・ハックナル

英国編集部の好みによって、ノミネート車両には多少のバイアスが掛かっていることを、認めなければならない。だが、2019年のジャガーIペイスなど、象徴的な例はしっかり含まれていると思う。

古いクルマと新しいクルマを画一的に並べて、性能などを単純に比較しても意味がない。該当する10年間で、最も大きな影響を与えたモデル、ドライバーズカーとして特に先進的だったモデルということを、大きな評価軸とした。

欧州COTYの審査に準じて、デザイン、快適性、経済性、操縦性、動力性能、機能性、安全性、価格価値を、年代毎に採点。上位5台の車両を改めて評価し、60年間のベスト・オブ・ベストを選んだ。

内燃エンジンの時代が終わりを迎えようとしている今、歴代の欧州COTYで最も重要だった1台は、「いつ」の「どれ」か。少々長い企画となったが、最後までお付き合いいただければ幸いだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    サイモン・ハックナル

    Simon Hucknall

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジョン・ブラッドショー

    John Bradshaw

    英国編集部フォトグラファー
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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