豪華な内装に快適な乗り心地 シトロエン・アミ UK版中古車ガイド(2) アキレス腱はサビ!

公開 : 2024.09.08 17:46

シトロエン2CVの意志を継ぐ上級モデル、アミ 注目を集める個性的な容姿 2CV譲りの水平2気筒 当時は最も快適に移動できた小型車 アキレス腱は各部のサビ 英編集部が魅力を振り返る

当時は最も快適に移動できた1台 故障は少なめ

シンプルなシトロエン2CVをベースに、パワフルなエンジンと豪華な内装を与え、ワンランク上のモデルを狙ったアミ6。当初のエンジンは空冷の水平対向2気筒で、点火タイミングを司る複雑なディストリビューターは存在せず、機械的な故障は少ない。

コイルスプリングを採用した独立懸架式サスペンションは、相互接続され、抜群の乗り心地を実現。シートもふかふかで、現役時代は最も快適に移動できるクルマの1台といって良かった。

シトロエン・アミ(1961〜1979年/英国仕様)
シトロエン・アミ(1961〜1979年/英国仕様)

ホイールは軽量化が図られ、ブレーキはハブ側ではなく、ドライブシャフト付け根側のインボード・レイアウト。バネ下重量も抑えられている。ラジアルタイヤと油圧ブレーキという仕様は、当時の小型ファミリーカーとしては先取りの装備だった。

またステアリングラックは、先進的なラック&ピニオン式。トランスミッションは、変速しやすいオールシンクロの4速マニュアルが組まれる。車内のベンチレーション機能に優れ、ヒーターも備わった。

インテリアは、シトロエンDSとイメージが重なるシングルスポークのステアリングホイールが新鮮。ダッシュボードから伸びるシフトレバーを動かせば、古いシトロエンに乗っているという気分が高まる。ハンドブレーキレバーは、アンブレラ・スタイルだ。

アキレス腱はボディやシャシーのサビ

1960年代には、最も個性的な見た目のファミリーカーといえたシトロエン・アミ。1970年代に入ると、フェイスリフトを受け少し癖は抑えられている。

アキレス腱といえるのが、ボディやシャシーのサビ。使用された鋼板は薄く、防錆処理も充分とはいえず、非常に錆びやすいのが悩みだろう。また、2CVをアップグレードするため、部品取り車になることも多かった。

シトロエン・アミ(1961〜1979年/英国仕様)
シトロエン・アミ(1961〜1979年/英国仕様)

流通する部品は少なく、ボディパネル自体は出てくるものの、トリム類は入手が難しい。複雑なパネル面は修復しにくく、凹んだ部分へ大量にパテが盛られている場合もある。

エンジン音がガタガタと大きく、パワー不足を感じる場合は、ピストンリングの交換やバルブ調整を検討したい。アミ・スーパーが積む4気筒エンジンは力強いが、現存数は非常に少ない。

フロントサスペンションは、頻繁なメンテナンスが必要。キングピンは劣化しやすく、初期型では1600km毎のグリスアップが指定されていたほど。

ブレーキは、確実に停車できて正常。フロントドラムのフルード量のほか、シリンダーやピストンの固着がないか確かめたい。多くは2CVと共有するため、交換部品は探しやすいはず。

アミ6では特に、味わい深く小さなエンジンの限られたパワーを使い切る、という走りに深い充足感を得られる。質素なフレンチ・クラシックを運転する、他にはない面白さを満喫できるはず。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マルコム・マッケイ

    Malcolm Mckay

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジェームズ・マン

    James Mann

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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