ボルボS60 D4 R-デザイン

公開 : 2015.07.23 23:50  更新 : 2022.12.12 21:29

  • 760ターボ・ディーゼル・セダン以来。日本では32年ぶりとなるボルボのディーゼル・モデル。

  • D4は、T6(ガソリン3.0ℓ6気筒ターボ)並みのトルクながら、JC08モード燃費は20.9km/ℓを達成。

  • D4エンジンは2ステージターボを採用。写真正面の上が小型、下が大型のターボチャージャー。

■どんなクルマ?

ボルボ独自開発のディーゼル・エンジンを搭載したミド・サイズ・サルーン。S60を選ぶ人は眼中にないだろうけれど、同じセグメントにBMW320dがある。

注目は、‘D4’と名づけられた直4DOHC16バルブの直噴ディーゼル・ターボである。2008年のリーマン・ショックでフォード・グループから切り離されたボルボは独自の道を歩み始めたわけだけれど、じつは07年の時点で、‘DRIVE-E’なる新パワートレイン戦略に着手していた。フォード系エンジンを捨て、独自開発の4気筒、あるいはそれ以下のシリンダー数の高効率ユニットで、すべてのモデルをカバーしようと考えていたのだ。

この戦略から生まれて来たのが、ブロックの基本構造を同じくするガソリンのTとディーゼルのDの、いわば一卵性双生児の性別違いにもなぞらえられるユニットである。ヘッド部分が完全に異なるこの双子は、それぞれにさまざまなチューンが用意されており、それはローマ字の後の数字の多寡によって表される。本邦でのDRIVE-E第1弾は、昨年早々に上陸したT5であり、D4は第2弾になる。

排気量はTもDもともに2ℓで、D4はラグを消すためボルグ・ワーナー製ターボチャージャーを大小2つ備えている。もちろんコモンレール式の直噴で、インジェクターはデンソー製だ。最高噴射圧力2500barという高圧で、1回の燃焼時に最大9回の噴射ができる。各シリンダーの圧力と温度に合わせて、燃料の噴射をきめ細かく制御し、理想の燃焼状態をつくり出す。圧縮比は15.8と、マツダの14.0ほどではないにしてもディーゼルとしては比較的低く、最高出力190psを4250rpmで、最大トルク40.8kg-mを1750-2500rpmで紡ぎ出す。ちなみに、同じ排気量2ℓのディーゼルで比較すると、175psのマツダ、184psのBMWを上回る。

ギアボックスはアイシンAW製の8速オートマチックで、駆動方式はFWDのみ。パドル・シフトも付いている。

D4搭載車は、2016年モデルの40と60シリーズに一気に加わった。今年の後半にやってくる新型XC90にも設定がある。ボルボはディーゼル革命を極東で起こそうとしている!

記事に関わった人々

  • 今尾直樹

    Naoki Imao

    1960年岐阜県生まれ。幼少時、ウチにあったダイハツ・ミゼットのキャビンの真ん中、エンジンの上に跨って乗るのが好きだった。通った小学校の校長室には織田信長の肖像画が飾ってあった。信長はカッコいいと思った。小学5年生の秋の社会見学でトヨタの工場に行って、トヨタ車がいっぱい載っている下敷きをもらってうれしかった。工場のなかはガッチャンガッチャン、騒音と金属の匂いに満ちていて、自動車絶望工場だとは思わなかったけれど、たいへんだなぁ、とは思った。

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