ボルボS60 D4 R-デザイン

公開 : 2015.07.23 23:50  更新 : 2022.12.12 21:29

  • T5と比べて、D4はエンジン単体で約30kgの重量増。ディーゼル特有の音は車内では気にならない。

  • 同日に試乗できたV40 D4 SEも同じくD4エンジンを搭載。こちらは3,990,000円。

■「買い」か?

試乗車の車両本体価格は5,290,000円で、ガソリン・モデルに較べて25万円高となる。厳しい日本の排ガス規制をクリアしたクリーン・ディーゼルは取得税と重量税が100%減税となる。V60のT4とD4、SEグレードで比較すると、車両価格25万円の差は減税のおかげで約10万円に縮まる。

さらに興味深いのは、ボルボ・ジャパンの試算だ。カタログ燃費はT4が14.9km/ℓ、D4は20.9km/ℓである。ハイオクがリッター145円、軽油が同110円として、年間1万km走ったときの燃料代は単純計算で、それぞれ97,315円と52,632円となり、ディーゼルは44,684円の得になる。

年間1万km走れば、3年ちょっとで回収できる。当たり前だけれど、距離を走る人ほど意味がある。つまり、買いである。

S60返却後、V40 D4 SEにも乗ってみた。60から40に乗り換えると、値段の違いが明瞭に感じられて、やっぱり60の方がいいな、と私なんぞは思ったものだけれど、同じD4を積むV40は違った。大トルクのエンジンを搭載した小型車のストレートな快感があったのだ。S60より80kg軽くて、ボディがコンパクトなことが運転の歓びを拡大してくれる。

スポーティ仕様ではないので、足は比較的柔らかい。それでいてピックアップがよくて、速い。低速で惜しみなくトルクがわき出す。8速ATは変速ショックが皆無で、ウルトラ・スムーズである。価格は3,990,000円。

新しいD4は、ボルボのこれまでの北欧的キャラクターというものを少なからず変えるに違いない。充実した社会保障制度を守りつつ、活き活きとしたウェイ・オブ・ライフが誕生した、といいますか……。

ま、ごく簡単にいえば、運転してオモシロい。その上で燃費がいい。ボルボといえばディーゼル、と看板の書き換えが行われることになるだろう。

(文・今尾直樹 写真・前田恵介)

ボルボS60 D4 R-デザイン

価格 5,290,000円
燃費 20.9km/ℓ
乾燥重量 1630kg
エンジン 直列4気筒1968ccターボ
最高出力 190ps/4250rpm
最大トルク 40.8kg-m/1750-2500rpm
ギアボックス 8速オートマティック


▶ 国内初試乗 / ボルボXC60 T6 AWD R-デザイン チューンド・バイ・ポールスター
▶ 国内初試乗 / ボルボV40クロスカントリー T5 AWD
▶ 海外初試乗 / ボルボXC90 D5インスピレーション
▶ 特別企画 / ボルボ最後の直6! ポールスターチューンのV60をねらえ

記事に関わった人々

  • 今尾直樹

    Naoki Imao

    1960年岐阜県生まれ。幼少時、ウチにあったダイハツ・ミゼットのキャビンの真ん中、エンジンの上に跨って乗るのが好きだった。通った小学校の校長室には織田信長の肖像画が飾ってあった。信長はカッコいいと思った。小学5年生の秋の社会見学でトヨタの工場に行って、トヨタ車がいっぱい載っている下敷きをもらってうれしかった。工場のなかはガッチャンガッチャン、騒音と金属の匂いに満ちていて、自動車絶望工場だとは思わなかったけれど、たいへんだなぁ、とは思った。

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