フォード・フィエスタST-2

公開 : 2013.04.06 17:55  更新 : 2017.05.29 18:55

■どんなクルマ?

われわれはすでにこのフォードフィエスタSTのドライビング・インプレッションを行なっている。しかし、それは海外を舞台としたもので、英国の道においては初めての試乗となる。

フィエスタSTは、179bhp/5900rpmを発揮する1.6ℓターボのエコブースト・エンジンを搭載し、0-100km/hを僅か6.9秒で走り切るホット・ハッチだ。

そのSTバッジから予想されるとおり、スプリング、ダンパーは強化され、ステアリング・ナックルが変更され、ステアリング・レシオもクイックになっている。また、リアのトーション・ビームもロールを抑える方向のセッティングとなっている。また、トルク・ベクタリング・コントロール・システムが、メカニカル・ディファレンシャルと3ステージ・トラクション・コントール・システムに代わって装備される。

キャビンは、レカロのスポーツ・シートがフロントに装備され、外観ではより大きなホイールとスポイラー、がっしりとしたエグゾーストなどが装着されるが、ライバル達と較べると大人しい仕立てがされていると言えよう。

■どんな感じ?

われわれに提供されたのは、ロンメルのテスト・トラックだ。それは、サリーの凸凹とした路面でテストするのと同じぐらいつらい環境かもしれない。そのテストトラックのベルジャン・ロードでも感じられたが、その乗り味は実に固い。そのテイストは、軟弱なZetec Sエンジン搭載モデルと異なることは、20mも走ればすぐに分かるはずだ。

フォードはSTにスタンダード・モデルよりも15mm低い車高を与えた。乗り心地は不快だが、垂直方向のダンピングは非常に良い。路面の上でバターを塗るようなスタンダード・モデルに対して、古典的なホット・ハッチといった味付けがこのフィエスタSTにはされている。それは、少しばかり過激なドライビングとなると、17インチのブリヂストン・ポテンザが踏ん張り、リア・アクスルを持ち上げるほどだ。

179bhpの1.6ℓターボ・エンジンは、ライバル達と較べても損傷ないパワーを持ち、そのパワー・デリバリーも扱いやすい。シャシーはトラクションと機敏さと安定方向を重視したセッティングで、その落ち着いたハンドリングは特筆すべきものだ。2級国道では、素晴らしい振る舞いを見せたフィエスタSTは、よりシャープなフロント・エンドとリアのドリフトによって楽しいスリルをも、もたらしてくれる。

経済性も悪くない。使用するギアを3速と4速中心から、5速6速にすれば、トリップ・コンピュータによればその燃費は9.0km/ℓから17.0km/ℓに上昇する。1900rpmからマックスの27.5kg-mを発揮するため、そういった高いギアを使う走りも不得意ではない。

■「買い」か?

フィエスタSTはニッチなマーケット向けのクルマであることは間違いない。しかし、そのプライスもリーズナブルだし、経済性も良く、CO2排出量も少ない。それでいて、扱いやすいパフォーマンスを兼ね備えている1台と言えよう。

フィエスタSTを頑固なホット・ハッチと思う人ももちろんいるだろう。しかし、われわれからすれば、これもで充分ソフトになったのだが……。

(ニック・カケット)

フォード・フィエスタST-2

価格 17,955ポンド(270万円)
最高速度 224km/h
0-100km/h加速 6.9秒
燃費 17.0km/ℓ
CO2排出量 138g/km
乾燥重量 1163kg
エンジン 直列4気筒1596ccターボ
最高出力 179bhp/5700rpm
最大トルク 27.5kg-m/1900-4000rpm
ギアボックス 6速マニュアル

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