さよなら、フォード・フィエスタ 47年の歴史に幕 7月7日生産終了が確定

公開 : 2023.07.03 18:05

欧州で人気の高い小型ハッチバック車、フォード・フィエスタが7月7日に生産終了することが明らかになりました。新型エクスプローラーなど次世代バッテリーEVにリソースを割り振る計画です。

欧州フォードが販売する小型車のフィエスタが、7月7日に生産を終了することがAUTOCARの取材で明らかになった。

フォード・フィエスタの生産終了は昨年末に決定したが、詳しい日程が確認されたのは今回が初めて。フィエスタは47年間、8世代に渡る生産に幕を下ろすことになる。

フォード・フィエスタの直接的な後継車は計画されていない。
フォード・フィエスタの直接的な後継車は計画されていない。

これを記念し、最後の2台はフォードが保管する予定だ。1台はフィエスタが生産されていたドイツ・ケルン工場、もう1台は英国に送られるという。

フィエスタの生産終了の理由について、フォード・モデルE・ヨーロッパのジェネラル・マネージャーであるマーティン・サンダー氏が2022年12月にAUTOCARに語ったところによると、新型の電動SUVのエクスプローラーを生産するために「工場にスペースが必要」だったからだという。

「わたし達は、最初の量産EVをここケルンで製造することに決めました。フィエスタの工場をバッテリーEVの工場にするため、スペースが必要になりました。そのため、フィエスタの生産を中止するという決断をせざるを得なかったのです」

フォード初のカーボン・ニュートラル工場とされるケルンEVセンターは、6月12日に正式にオープンした。

1976年の発売以来、フィエスタは欧州Bセグメント・ハッチバックの中でも高い人気を得てきた。特に英国では、2009年から2020年にかけてベストセラー車の座を維持している。

しかし2021年、パンデミックの影響でサプライチェーンが打撃を受けたこともあり、販売ランキングのトップ10から脱落してしまった。多くのメーカーは、部品の在庫を収益性の低い小型車から、売れ行きの好調なクロスオーバーやSUVに振り向けることを余儀なくされた。フォードは2022年6月にフィエスタの受注を一時停止した際、半導体の不足が6か月の受注残を生み出したと説明している。

欧州フォードのラインナップの中で事実上フィエスタに取って代わるモデルが、クロスオーバーのプーマだ。2021年には英国でフォードのベストセラーとなるなど、時代の移り変わりを象徴するような数字が見られた。

しかし、フィエスタの人気が低迷したわけでは決してない。というのも、2023年の最初の5か月間、英国の販売トップ10に常にランクインしており、中古車市場では依然として王座に君臨しているからだ。

フィエスタは、フォードが本格的な電動化に向けて準備を進めている中で、廃止されることになった長寿モデルの1つである。2023年4月にはMPV(ミニバン)のSマックスとギャラクシーが生産終了し、Cセグメント・ハッチバックのフォーカスの生産も2025年に終了する予定だ。

フォードは、エンジン車のフォード・ブルー部門や商用車のフォード・プロ部門とは別に事業を展開するフォード・モデルE部門で、2026年までに年間60万台のEV販売を見込んでいる。

フォードは以前、2030年から欧州でEVのみを販売すると表明していた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・マーティン

    Charlie Martin

    英国編集部ビジネス担当記者。英ウィンチェスター大学で歴史を学び、20世紀の欧州におけるモビリティを専門に研究していた。2022年にAUTOCARに参加。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ。テレビゲームで自動車の運転を覚えた名古屋人。ひょんなことから脱サラし、自動車メディアで翻訳記事を書くことに。無鉄砲にも令和5年から【自動車ライター】を名乗る。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴとトマトとイクラが大好物。

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