【来場者3倍も】ドライブインシアター、開催の動きが加速 コロナ禍でもクルマから映画鑑賞

公開 : 2020.04.11 18:50  更新 : 2020.04.11 19:43

「ドライブインシアター」が見直されています。新型コロナウイルスの拡散防止・感染予防の対策として、クルマから降りないで、安心して映画を見られることがメリットに。上映活動は全国に広がりつつあります。

ドライブインシアターとは?

text:Kumiko Kato(加藤久美子)

広々とした駐車場に設置された巨大なスクリーンで上映される映画を、クルマに乗ったまま鑑賞する……これがドライブインシアターの一般的なスタイルだ。1930年代にアメリカで生まれ、50~60年代には全米で大ブームとなった。

『東宝五十年史』によると、日本では1962年11月に東京都北多摩郡砂川町(現在の立川市)に設置された「ドライブイン劇場」が最初とされている。当時、在日米軍立川飛行場が近くにあったことも関係していると思われる。

日没とともに駐車場に集まるクルマたち。いまドライブインシアターという映画鑑賞のスタイルが見直されている(写真は過去に開催したときの様子)。
日没とともに駐車場に集まるクルマたち。いまドライブインシアターという映画鑑賞のスタイルが見直されている(写真は過去に開催したときの様子)。

その後、モータリゼーションの拡大と共に増え続け、バブル期の90年前後には全国20か所以上で営業していたが、2000年代に入ると閉業が増え『ドライブインシアター大磯』が2010年10月に閉館。

これにより完全常設型のドライブインシアターは姿を消した。

現在は熊本県西原村にある、『ドライブインシアター阿蘇』が国内唯一の常設シアターとなっている。同シアターでは2018年11月『スパイダーマン・ホームカミング』から月1回の定期上映が行われており、来たる4月25日(土曜日)に『松田拓真’s film story』の上映が予定されている。

「Drive in Theater Asoがある阿蘇一帯は火山の噴火でできたカルデラという窪地に5万人以上が暮らす世界でも珍しい場所です。1000m級の雄大な山々の中、見渡す限りの草原や、一面の空を染める夕暮れ、そんな絶景阿蘇をドライブしたあとにクライマックス、満天の星空のもと、映画を楽しめます。きっと素敵な思い出のワンシーンになります」(ドライブインシアター阿蘇)

首都圏でも様々な形で上映活動は始まっている。

埼玉・山梨開催 3月から変化

現在、日本国内で不定期、不定地でドライブインシアターを運営している個人や団体はいくつかあり、コロナ禍で動きが加速したのは確かだが、ほとんどはコロナ禍以前から上映活動を行っている。

コロナ禍以降の3月20~22日には『ドライブインシアターを作る会』の主催で埼玉県川越市内のオフロードパーク内で、また、先週末4月4~5日には地元映画館などの主催によって山梨県甲斐市のスーパーマーケット駐車場にてドライブインシアターが実施された。

クルマから降りない映画鑑賞。いつも一緒にいる家族と、自宅にいる時と同じ環境で過ごせるのは安心(写真は過去に開催したときの様子)。
クルマから降りない映画鑑賞。いつも一緒にいる家族と、自宅にいる時と同じ環境で過ごせるのは安心(写真は過去に開催したときの様子)。

いずれも家族連れを中心に予想をはるかに上回る賑わいとなり、入場制限が出るほどの大盛況となった。

来場者からの反応はどうだったのか? 『ドライブインシアターを作る会』の柿沼代表に話を聞いた。

同会は所有する500インチの巨大なスクリーンや関連機材で、2019年10月と12月に上映を実施している。

「クルマの配置や会場整備などについて意見を頂戴することもありましたが、会場の雰囲気を含めて楽しんでいただけたと思います。3月に開催された第3回ではテレビなどのメディアに取り上げられたこともあり、来場者数が第2回と比べて3倍になりました。

今後は、コロナの影響を見ながら、川越での上映を不定期で続けていきつつ、首都圏を離れたところでも上映を行ってみたいと思い会場を探している最中です。

すでに、いくつかお問い合わせいただいているのですが、上映依頼を受けて出張上映などもできたら良いなと思っています」

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