【ベントレー4台で英国縦断2泊3日】ジュネーブ・ショー中止が生んだ旅 後半

公開 : 2020.06.23 15:20

開催直前に中止が決まった、2020年のジュネーブ・モーターショー。ベントレーはシーズン開幕を記念するグランドツアーを計画していましたが、旅も急遽変更に。総行程1300km以上に及ぶ、英国縦断ツアーとなったのです。

旅を先導したのはベントレーのアイスカー

text:text:Steve Cropley(スティーブ・クロップリー)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
コッカーマスのMスポーツ社で出迎えてくれたのは、もとレーサーで、同社を率いるマルコム・ウィルソン。1時間をかけて、ファクトリーを紹介してくれた。施設や技術、数百名のスタッフの仕事を理解するには充分すぎる内容だった。

ウィルソンは、フォルクスワーゲンのワゴンに8名を乗せて、新しいハンドリングコースを周回してもくれた。テスト走行に準備された施設だ。

 英国を縦断するベントレーの車群
英国を縦断するベントレーの車群

紹介が終わり、4台のベントレーへ戻ったのは午前11。ピムズ・レーンのベントレー本社まで、240kmを一気に走りきると、ランチが待っていた。食事を共にしたのは、ベントレーCEOのエイドリアン・ホールマークと、デザイン・ディレクターのシュテファン・ジーラフ。

ホールマークは、ベントレーの経営の順調さと野心的な目標を、ジーラフはバカラルへの誇りを語る。ベントレー・バカラルについては、AUTOCARのサイトで一度ご紹介させていただいた。

今回、筆者と一緒にペアを組んだのは、陽気なステファン・ドビーという人物。トップ・ギア誌の編集スタッフで、冷静沈着でありながら、腕利きのドライバーだとわかった。2日間一緒に過ごすから、人として合うか合わないかは大切な要素だ。

イベントを率いるマイク・セイヤーは、ベントレーの「アイスカー」で旅を先導してくれた。美しく塗装されたベントレー・コンチネンタルGTには、レース用のシートとロールケージが組まれている。

ルーフラックがコンチネンタルには不釣り合いだが、オーストリアの有名な氷上レース、ツェル・アム・ゼーで優勝したばかり。その戦いでは、一般的な装備なのだろう。

高速道路に理想的なフライング・スパー

旅の初日、リーズ城を出発した時に筆者が乗ったのは、4台の中で最新モデルのフライング・スパー。ファースト・エディションで、深いグリーンのボディに優雅なツートーンのインテリアが組み合わされている。

素晴らしいファースト・エディションの標準装備に加え、6600ポンド(87万円)のネイム製オーディオが選ばれ、価格は16万8300ポンド(2221万円)。走り始めて30分も経たないうちに、その価格が妥当に思えた。走り込むほどに、納得できる。

英国を縦断するベントレーの車群
英国を縦断するベントレーの車群

頭の中で繰り返された印象は、素晴らしいクオリティとケイパビリティ。品質と資質とでもいえよう。モナコでの発表会の試乗では、洗練性の新たなベンチマークを設定したと感じていた。それは間違いなかった。

W12気筒エンジンは、改良を受ける前から素晴らしいユニットだったが、耳をひそめると少しノイズが目立つところもあった。新しいユニットは、まさにスムーズという言葉を体現している。

長く広いボディサイズやホイールベースを考えれば、フライング・スパーの旋回性には、ただただ驚かされる。しかも、極めて正確にクルマを導いていける。

初日の、高速道路中心の走行には理想的だった。そういえば初日、ランチで立ち寄ったスコッチコーナーという街のレストラン、ミドルトン・ロッジも素晴らしかった。フライング・スパーの燃料タンクと一緒に、筆者の胃袋も満たされた。

土曜日の午後は、コンチネンタルGTコンバーチブル。W12気筒エンジンで、ボディは冒険的なマット・グリーンのジュリップ塗装が施されている。インテリアはブラックのベルーガだ。

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