【詳細データテスト】フォルクスワーゲン・ゴルフ より洗練された走り 内装の質感はやや後退 リアのマルチリンクは走りにも快適性にも有効

公開 : 2020.08.01 11:50

言わずと知れたビッグネームが世代交代。ルックスと操作性を刷新し、マイルドハイブリッドなどの新機軸も導入しつつ、定評あるバランスのよさはさらに向上。クラストップの座は、またも揺るぎないものとなっています。

はじめに

自動車業界において、成功が独善性を生み出すとすれば、それを実証できそうなクルマは、フォルクスワーゲン・ゴルフをおいてほかにはない。

とはいえ、50年近くにわたり、それを匂わせさえしなかった。ゴルフは、自動車界における静かなるアイコンとでもいうべき地位を、ますます確固たるものとし続けているのみだ。

フォルクスワーゲン・ゴルフ 1.5 eTSI 150 スタイル DSG
フォルクスワーゲン・ゴルフ 1.5 eTSI 150 スタイル DSG    OLGUN KORDAL

そうしたゴルフの独特なポジションは、セールス面におけるマージンをみれば理解できることだ。自動車販売が好調な年でも、欧州市場で年間25万台を売る新型車はせいぜい10車種といったところ。30万台を超えるのは、そのうち4~5車種あればいいほうだろう。

しかしゴルフは、ここ10年ほどの間、50万台以上をマークした唯一のモデルだ。それも、2014年と2015年、2度も達成している。欧州では他を圧倒するベストセラーで、直接的な競合モデルとなるフォード・フォーカスやオペルヴォグゾール・アストラの最高記録と比べてもダブルスコアの大差をつけているのだ。

しかしながら、その文脈でいくと、今回はちょっとしたギャンブル、ということになる。8代目ゴルフは、フォルクスワーゲンが誇る不朽の5ドアファミリーカーにとって、5代目以来でもっとも大胆な再定義かもしれないからだ。自動車メーカーとして、リスクヘッジの観点からすれば、売れ筋モデルをガラリとイメージチェンジするのが常道とはいえないのはおわかりだろう。

キレのよいルックスだけでなく、パワートレインには新開発のハイブリッドシステムを採用し、ハンドリングはシャープさを増した。キャビンはシンプルなデザインで、マーケットの先端をいくアクティブセーフティ技術も見受けられる。

世界でも屈指の大メーカーがそうした開発努力を惜しまなかった理由はなにか。それは、欧州のミディアムハッチバックセグメントが縮小し続けていることだ。新型ゴルフが図った冒険的な変貌の狙いは、そうした現状に歯止めをかけることにほかならない。

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