【先代からの明らかな進化】新型トヨタ・ヤリス・ハイブリッドへ英国試乗

公開 : 2020.08.30 10:20  更新 : 2021.01.28 16:42

新しく生まれ変わった、トヨタ・ヤリスが欧州へも上陸。ドライビング体験の喜びはライバルに分があるものの、シャシーやインテリアの質感は、先代より明確に前進したとする英国編集部。ハイブリッド版を一般道で評価しました。

GRヤリスがイメージを牽引する4代目

text:Richard Lane(リチャード・レーン)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
根っからのクルマ好きの場合、トヨタヤリスが新しくなったと聞いても、熱い話題にはならないかもしれない。しかし、自動車業界全体としては興味深い話題だ。

ほぼ完全に新しくなった4代目トヨタ・ヤリスが、英国へも上陸する。初代が英国へやって来たのは1999年。当初日本では、ヴィッツを名乗っていた。

トヨタ・ヤリス(欧州仕様)
トヨタ・ヤリス(欧州仕様)

可愛らしい曲線で包まれた、初代のボディ。メーターパネルがダッシュボードの中心に、歪んだように付いていた。

見た目が楽しいだけでなく、車内は広々で、運転は安楽。トヨタの想像以上に、初代ヤリスは好調に売れた。若者の支持も高く、モディファイして乗っている姿が見られたものだ。

2000年代半ばには、フォードフィエスタなど容姿で優れるライバルが登場。英国では、ヤリスは年配層を中心に売れ続けた。2012年には、3代目にハイブリッドが追加。人気を支えた。

欧州でのヤリスには、年配層というイメージ的な課題があった。代替わりのたびに、トヨタはリフレッシュを試みてはいたが、過剰に感じられるスタイリングが水を指していたように思う。

最近のトヨタは、刺激と欲望といったものを活用している。新しいヤリスは、WRCマシンがイメージを牽引中。限定量産モデルの、GRヤリスだ。

260psを発揮する1.6Lターボエンジンを積むGRヤリスは、トルセン・デフを備える四輪駆動。その甲斐あってか、再びヤリスがクルマ好きの話題に上がることになった。

TNGAを採用し、価格は上昇

ただし、今回試乗するヤリス・ハイブリッドは、GRヤリスとは異なる。3ドアは選べないし、ロータリー交差点でドリフトもできない。でも、確かにイメージは重なる。

膨らんだフェンダー、傾斜するリアハッチ、後方へと跳ね上がるベルトライン。従来のヤリスにはなかった雰囲気が漂う。

トヨタ・ヤリス(欧州仕様)
トヨタ・ヤリス(欧州仕様)

エントリーグレードの16インチホイールを履くヤリスでも、記憶に残る。楽しそうにも見える。一方で英国価格は、1万9910ポンド(270万円)へと高くなってしまった。

価格上昇の理由は、トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャ(TNGA)にある。ワンサイズ大きく、優れたカローラの土台もなす、比較的高価なプラットフォームを利用しているためだ。

そのおかげでシャシー剛性は高くなり、重心は低下。運転支援システムへの対応もメリットだろう。スペースの有効活用も可能となっている。

新しいヤリスは先代より全長が55mmも短く、4mを切っている。その反面、ホイールベースは50mmも延びた。

最小回転半径は、先代同様に小さい。フォード・フィエスタやフォルクスワーゲン・ポロより小回りが利く。

ハイブリッド・システムも一新されているが、内容自体はトヨタとしてはお馴染みのもの。トヨタによれば、英国の場合、約80%のユーザーがハイブリッドを選ぶと見ている。24.8km/Lという燃費を考えれば、疑問はない。

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