【先代からの明らかな進化】新型トヨタ・ヤリス・ハイブリッドへ英国試乗

公開 : 2020.08.30 10:20  更新 : 2021.01.28 16:42

インテリアの知覚品質は飛躍的に改善

ガソリンエンジンはアトキンソン・サイクルの1.5L 3気筒。駆動用とスターター・ジェネレーター、2基のモーターが組み合わされる。英国仕様のシステム総合での最高出力は115psだ。先代の力不足だったヤリスより、16psも高い。

CO2の排出量は、20%ほど減少。バッテリーは、先代はニッケル水素だったが、新型では軽量なリチウムイオンになった。より高いエネルギー放出も可能としている。

トヨタ・ヤリス(欧州仕様)
トヨタヤリス(欧州仕様)

今回の試乗車は、ベルギー仕様。欧州では中グレードに位置するヤリスで、ホイールは17インチだった。カラー・ヘッドアップディスプレイや、ワイヤレス・スマートフォン充電機能などを装備する。

インテリアは、これまでのヤリスで最も興味深い。新しいカローラ同様、知覚品質は飛躍的に改善した。内装パネルや部品のテクスチャーの雰囲気も良く、使いやすい小物用のスペースもふんだん。リアシートの空間も従来よりベターだ。

サポート性の良いシートに、スポーティなステアリングホイールを付ければ、ぐっと冴えた運転環境になりそうだ。ステアリングコラムの調整幅は、もう少し欲しい。

一方で、フロントガラス左右のAピラーは太すぎる。大きなタッチモニターが、ドライバーの視界を奪ってしまう。インフォテインメント・システムのインターフェイスもイマイチだが、アンドロイド・オートとアップル・カープレイには対応する。

そんな新しいヤリスのドライビング体験は、良い点と良くない点が混ざる。

最も評価したいのは新しいシャシー

バッテリーはモーターだけで6kmほどの距離を走れる容量があり、システムが知的に制御する。停止状態からのスタートは、電気の力だけで静か。力強いトルク感は、交差点からの立ち上がりなどで有用だ。

電気モーターで走りが賄えなくなると、エンジンが始動する。エンジンと電気モーターが協働し、中速度域での加速は充分にカバーできている。

トヨタ・ヤリス(欧州仕様)
トヨタ・ヤリス(欧州仕様)

一方で追い越し加速は、しっかりした見定めが必要。アクセルペダルを戻すと、エンジンはすぐにストップしてしまう。

パワートレインとして、ドライバーを引きつける力は薄い。ターボエンジンのフォードフィエスタの方が楽しめる。そのかわり、経済的。今回の試乗では、複合的な条件で得られた平均燃費は22.3km/Lだった。

ステアリングフィールは、普通のヤリスだから、可もなく不可もなくといったレベル。操舵感は軽快で、レシオも良い。GRヤリスは、もっと良いはず。

トランスミッションはCVT。従来のような、ゴムバンドのような緩いフィーリングは改善している。

乗り心地は、高速道路の速度域で落ち着きがなくなるようだった。選ぶなら、標準の16インチ・ホイールの方が良いだろう。

新しいヤリスで最も評価したいのは、新しいシャシー。挙動はとてもニュートラルでコーナーをピタリと曲がり、控えめなタイヤながら、しっかり路面を掴んでくれる。

多くのヤリス・オーナーは、コーナーを攻めることはないだろう。仮に試せば、破綻しにくい足腰を備えていることに気付くはず。ちゃんと能力は秘めている。

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