【3列7人乗り、実践SUV】メルセデス・ベンツGLB試乗 250 4マティック・スポーツの評価は? ワゴン・モデルから乗換えもアリ

公開 : 2020.10.12 06:20  更新 : 2021.12.04 02:15

メルセデス・ベンツGLB(日本仕様)に試乗。3列シート7人乗りパッケージを採用するSUV。224psを発揮する「GLB 250 4マティック・スポーツ」を試しました。価格/パッケージ/装備を検証します。

どんなクルマ?

仕事絡みの会話で、「後出しジャンケンで負ける」というフレーズを用いることがままある。

たいていの場合は、一匹目の泥鰌(どじょう)を鮒と勘違いしたような結果。マーケティング的に言えば市場動向を的確に分析できなかったゆえの失敗である。

メルセデス・ベンツGLB(日本仕様)の上位グレード、GLB 250 4マティック・スポーツに試乗。
メルセデス・ベンツGLB(日本仕様)の上位グレード、GLB 250 4マティック・スポーツに試乗。    前田恵介

GLAのFMCと同時に新ブランドとして登場した「GLB」の第一印象は、「手堅い」である。

導入時期としては後出しだが、ファミリー&レジャー向けのSUVに求められる要素を的確に押さえている。流行ではなく、普遍性を備えた実利と換言してもいいだろう。

それはボクシーなフォルムのキャビンを中心に纏められた外観が雄弁だ。

MB車らしい風格を漂わせるものの、これ見よがしの演出や流行に媚びた感じがない。

サイズ/内装を検証

最優先されるのはファミリー&レジャー用途に向けた「実」なのが外観からも見て取れる。

全長は4650mm。国産車ならRAV4と大差ない寸法だが、2830mmという長いホイールベースを活かしたロングキャビン設計で3列シートを実現。

GLB 250 4マティック・スポーツの内装(3列目シート)。
GLB 250 4マティック・スポーツの内装(3列目シート)。    前田恵介

室内有効長は大人の縦3列着座には必要最低限である。

プリウスαなどのステーションワゴン型ミニバン相応の実用性を備え、圧迫感や見晴らしを配慮したサードシート周りの設計と相まって、同サイズの3列シートSUVでは実用性は良好。

さすがにミニバン代替に十分とまでは言えないが、4名乗車を基本に多様な用途に使えるキャビンを備えている。

どんな感じ?

車名から分かるようにA&Bクラス同様にFF用プラットフォームをベースに開発されているが、リアサスは試乗した「GLB 250 4マティック・スポーツ」だけでなくベーシックモデルとなるFFの「GLB 200 d」もマルチリンク式独立懸架を用いる。

シャシー周りでもう1つ見逃せないのが最低地上高である。

GLB 250 4マティック・スポーツの内装(前席)。
GLB 250 4マティック・スポーツの内装(前席)。    前田恵介

社内測定値の注釈はついているものの、202mmはランプブレークオーバー角に厳しいロング・ホイールベースをしても十分に余裕のある数値だ。

この試乗では試せなかったが、ABSも統合制御された「オフロードモード」を備えた電子制御4WDシステムと合わせて悪路踏破性もかなり期待できる。

また、乗降時の裾汚れ防止に効果的なサイドシルまでカバーするドア設計など、大技小技揃えてアウトドア・レジャー用途に対応している。

とはいえ走りの主はオンロードである。フットワークは一言でまとめれば基本に忠実な素直さ。SUVの高い重心高や重い車重を硬さで無理に抑え込んでいる印象はない。

サス仕様の分類ではスポーツサスとなり、235/45 R20を履くため、路面の微小凹凸には多少神経質な部分もあるものの、サス・ストローク感のある挙動がハンドリングと乗り心地の両面で好印象。

ロールの入りは滑らかに、それでいてロール速度も量も抑制が利いている。ワインディング路でも高速道路でも自然体で扱えて、同乗者と一緒に風景や会話を楽しめるゆとりが何よりである。

記事に関わった人々

  • 執筆

    川島茂夫

    Shigeo Kawashima

    1956年生まれ。子どものころから航空機を筆頭とした乗り物や機械好き。プラモデルからエンジン模型飛行機へと進み、その延長でスロットレーシングを軸にした交友関係から自動車専門誌業界へ。寄稿していた編集部の勧めもあって大学卒業と同時に自動車評論家として自立。「機械の中に刻み込まれたメッセージの解読こそ自動車評論の醍醐味だ!」と思っている。
  • 撮影

    前田惠介

    Keisuke Maeda

    1962年生まれ。はじめて買ったクルマは、ジムニーSJ30F。自動車メーカーのカタログを撮影する会社に5年間勤務。スタジオ撮影のノウハウを会得後独立。自動車関連の撮影のほか、現在、湘南で地元密着型の写真館を営業中。今の愛車はスズキ・ジムニー(JB23)
  • 編集

    徳永徹

    Tetsu Tokunaga

    1975年生まれ。2013年にCLASSIC & SPORTS CAR日本版創刊号の製作に関わったあと、AUTOCAR JAPAN編集部に加わる。クルマ遊びは、新車購入よりも、格安中古車を手に入れ、パテ盛り、コンパウンド磨きで仕上げるのがモットー。ただし不器用。

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