【いすゞ・ジェミニにも展開】ヴォグゾール・ビバ(オペル・カデット) 英国版クラシック・ガイド 前編

公開 : 2021.05.15 07:05  更新 : 2021.05.24 07:58

英国オペル、ヴォグゾールとして量産コンパクトカーの基礎を築いたビバ。後にいすゞ・ジェミニへも展開した名車を、英国編集部がご紹介します。

もくじ

ヴォグゾールの小型サルーンの足がかり
150万台以上が売れていても今は希少
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英国で掘り出し物を発見

ヴォグゾールの小型サルーンの足がかり

text:Malcolm Mckay(マルコム・マッケイ)
photo:James Mann(ジェームズ・マン)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

  
HA型と呼ばれる英国オペル、ヴォグゾールの初代ビバは、1963年当時の1Lエンジン・モデルとしてはボディサイズにゆとりがあった。乗り心地と仕上げ品質は褒められなかったものの、燃費や動力性能に不足もなかった。

ラック&ピニオン式のステアリングは軽く、MTには変速しやすくするシンクロメッシュを採用。荷室は広く、実用性にも長けていた。ヴォグゾールとして初のコンパクトサルーン市場への進出に、確かな足がかりを作ったモデルだった。

ヴォグゾール・ビバHB SL(1966〜1970年/英国仕様)
ヴォグゾール・ビバHB SL(1966〜1970年/英国仕様)

初代の成功を受け、2代目や3代目への進化ではボディサイズが拡大。特に2代目のビバHBは完全に新設計と呼べる内容となり、新規のボディシェルとサスペンションを獲得。100mmほど長いホイールベースで、全長は約150mmも伸びている。

ボディの中央がくびれたコークボトル・ラインと呼ばれるスタイリングが与えられ、インテリアの質感も大きく引き上げられていた。静かで滑らかな後輪駆動でもあり、ドライバーズカーと呼べるヴォグゾールだった。

素晴らしいツーリングカーとして評価されたのは、車重1t程度と軽量なボディに2.0Lのオーバーヘッドカム・エンジンを載せたビバGT。3代目HCのGTでは、最高速度は159km/h。0-97km/h加速は11秒を切り、当時としては俊足と呼べるものだった。

現在でもHC GTや2300 SLは人気が高い。またブラバムやクレイフォード・コンバーチブル、ローレンスチューンGTなど、特別仕様のビバも提供され、こちらは強気な取引価格が付いている。

150万台以上が売れていても今は希少

3代目のビバHCは、2代目HBの大幅アップデート版。車内空間の拡大や質感の向上で、高評価を集めている。ホイールベースは約40mm、全長は約50mm伸び、車重増で悪化した動的性能を補うために、より大きなエンジンが選ばれた。

ちなみに0-97km/h加速の時間で見ると、HAより1秒ほどHCの方が遅く、最高速度は同じだった。それでも、当時の同等のクルマと比べればHC型も充分に軽量。運転しやすく操縦性に優れ、広い車内が手に入る出色の選択肢といえた。

ヴォグゾール・ビバHB SL(1966〜1970年/英国仕様)
ヴォグゾール・ビバHB SL(1966〜1970年/英国仕様)

実際、ビバは良く売れた。しかし今日では、高性能なグレードのビバの人気は高いものの、レストア費用をカバーできるだけの取引価格は付いていない。

錆びやすいうえ中古車価格も伸びず、150万台以上が製造されていながら、英国に現存するのは数100台程度にまで減っている。それを受けてか、近年になって価格が上昇し始めている。

状態の良いビバHBは、小気味いいエンジンで運転が楽しい。設計に優れたリア・アスクルに、コイルスプリングが支えるがダブルウイッシュボーン式のフロント・サスペンションが与えられ、ハンドリングも良い。

もし購入するなら事前に試乗し、走りにたるみがないか確かめたい。ビバが人気だった頃は、エンジンやサスペンション、トランスミッションなどはスポーティさを求めて改造されていた。その内容にも気をつけたい。

ベースモデルのビバは、今の基準では速くはない。経済性を重視したファミリーカーだったのだから。

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