【日本資本に】ケータハム、何が変わる? 電動化の中で進む道

公開 : 2021.07.09 05:45  更新 : 2021.10.09 22:25

日本資本になった英国の自動車メーカー「ケータハム」。電動化の中でどう進むのか、直接インタビューしました。

日本資本に変わって何が変わる? 

editor:Taro Ueno(上野太朗)

1か月ほど前、AUTOCAR英国編集部が製作したケータハムの記事が出ていた。

それによればEV版のセブンを開発中であることや、モーガンとの契約など、なかなか威勢のいいトピックが並んでいた。

英国の自動車メーカー「ケータハム」はセブン・シリーズの生産をおこなっている。
英国の自動車メーカー「ケータハム」はセブン・シリーズの生産をおこなっている。

そこで筆者は旧知のジャスティン・ガーディナーに連絡を取り、ケータハムの詳しい現状を聞いてみることにした。

ジャスティンは660ccのスズキ・エンジンを搭載し一世を風靡したセブン160の発案者であり、つい先ごろケータハムを買収した日本のVTホールディングスの人間である。

「グッモーニン。今ボクはイギリスにひと月ほど滞在している。今ちょうどダートフォードのケータハム社に出勤したところ」

さっそく彼に質問を投げかけてみる。日本の資本になったことでケータハムはどう変わる?

「変わらないよ。というか今回ボクはケータハムの120人いる社員のみんなに『何も変わらない』と言いに来た感じなんだ」

「色々なうわさがあった。イギリス以外の国で作るとかね。でも日本のファンを含め、みんなイギリス製であることにもプライオリティを感じてくれているわけだから、それはない」

「でもまったく変わらないというわけじゃないかな。サプライヤーとの連携を改善している最中だから、うまくいけば今までより仕事がやりやすくなるはず」

EV 「まだまだ」先の話?

先の記事ではグラハム・マクドナルドCEOがEVセブンのプロトを試乗済であり、実車の発売は5年以内といっていた。

「それは……ちょっと盛っているかもね(笑)」

ケータハムは電動化の中でも内燃機関を重視するという。
ケータハムは電動化の中でも内燃機関を重視するという。

「モーターを積んだセブンはこれまでにもいろいろと作ったひとがいるから、彼はそれに乗ったことがあるということ。発売も5年では難しい」

「コンセプトカーなら今すぐにでも作れるけど、まだコンポーネンツが高い。イギリスでは2030年以降はICE(内燃機関)車両の新車販売ができなくなる。でもその頃には各社ともEVが出揃って、部品が安くなる。ウチが動くのは安くなってからだよ」

二駆のEVはリアにモーターを置くレイアウトが常套だが、EVセブンもそうなる?
 
「そういうEVセブンも見たことがあるけれど、それはしないと思う。モーターはフロントに縦置き。そうすることで車体の前後に重量物がうまく配分されてセブンらしいドライブフィールを再現できる」

「ミドシップみたいに重量物の中央に集めるとラップタイムは速くなるけど、ドライビングの楽しみはどうかな?」

「でもEV化よりも重要なことは、ケータハムは内燃機関にまだまだ可能性を感じているということだね。それは例えばシンセティック・フューエルのような解決策がこの先出てくるかもしれないし、世界を見渡せばまだまだガソリン車を販売できる市場もあるわけだからね」

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。BMW 318iコンパクト(E46)/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。

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