マクラーレン650S

公開 : 2014.04.02 22:50  更新 : 2017.05.29 19:10

■どんなクルマ?

これはマクラーレン12Cの正常進化形である。その大部分がエクセレントな12Cをベースにしたからこそ作り上げられたモデルであるということに疑いの余地はない。また、シンプルに考えれば、それは12Cが2011年にデビューした時点で、ロジカルに考えれば、既に予想されていた後継モデルということもできるだろう。

従って、カーボンファイバー・タブ、3.8ℓのV8ツインターボ・ユニット、7速デュアル・クラッチという基本構成は12Cと変化はない。しかし、マクラーレンによれば、12Cから650Sへのアップグレードに際し、25%は新しいパーツとなっているという。

その差を明確にするために、ビジュアル的にはノーズ・デザインが大きく変わったが、実は650Sは、その中身こそマクラーレンにとって大きな飛躍であり前進であるのだ。

650Sクーペの価格は£195,000(3,360万円)と高くなった。スパイダー・バージョンも同時に用意される。確かにその価格はアップしたものの、結果として12Cの625psからそのネーミングの元となった650psにパワー・アップされたエンジンが手に入る。また、69.1kg-mにまで上がったトルクは、その90%が3000rpmから発揮されるという。

ギアボックスも以前よりもよりスマートなシフトチェンジが可能なように改良され、更にドライバーの好みによってノーマル、スポーツ、トラックと3つのモードにレスポンスを変更できるドライブ・モード・セレクターも装備された。

ハンドリングもサスペンション・セッティングの見直しによってよりシャープになったが、その一方で12Cのスムーズな乗り心地は維持されている。650Sのシャシー・セッティングは、アグレッシブになってはいるものの、リラックスしたドライブも可能としていると、マクラーレンはコメントしている。その許容範囲は、12Cよりも遥かに広くなっているという。ちなみに、カーボン・セラミック・ブレーキは標準装備だ。

スタイリングで12Cと650Sとの区別をつけるのは容易だ。特徴的なP1のようなノーズ・エンドの処理は、今後のマクラーレン各モデルのデザイン・トレンドになっていくのだという。一方、リアは12Cとの違いを見つけるのは難しい。実はリア・ディフューザーはリデザインされており、また、テールライト周辺にはカーボンファイバーの2、3のフィンが追加されているのだが。

インテリアについては、650Sを識別するいくつかの新しい機構が装備されている。インフォテーメント・システムはP1から新たに移植されたもので、直感的な操作が可能なもの。トリムはアルカンタラ製。£5,000(86万円)と高価なオプションとはなるが、カーボンファイバー製のスポーツ・シートを選択すれば、1330kgのボディを更に15kg軽減することができる。

■どんな感じ?

結局のところ、パフォーマンスの向上が650Sのすべてである。ハンドリング、制動力、そしてコーナリング・スピード。それらが著しく向上したことは、フロント・エンドの変化よりも重要なことだ。そのすべてにおいて12Cを上回るものであり、その変化は衝撃的ということができる。

確かにスペック・シート上では、それほどの変化はないようだ。0-160km/h加速は6.2秒から5.7秒へ、0-50km/h加速は3.2秒から3.0秒に短縮されたにすぎない。しかし、冷静になって考えると、この650Sがリア・ホイール・ドライブでありながらも、0-160km/h加速が5.7秒という数値は、その価格を考えると途方もないタイムであることがわかる。

また、650Sの優れている点は、その強大なパフォーマンスを受け止めるブレーキの高い性能だ。また、ステアリング、ギアボックス、サスペンションからのレスポンスも円熟した領域にある。どんなにスピードが出ていても、素早く減速し、ステアし、そしてギアチェンジを行うことができるのだ。

3つ用意されるドライブ・モードは、ノーマル・モードではダンピングの効いた非常に良い乗り心地を示す。スポーツ・モードにするとスイッチが入った状態になり、トラック・モードではほとんどレーシング・マシンというフィーリングとなる。

コーナリングでは、フロント・タイヤに若干熱を入れる必要がある。これが冷えているとアンダーステア傾向を示すからだ。

スペインで650Sをドライブした経験では、個人的には650Sスパイダーのほうが魅力的だと感じた。しかも、650Sの良い知らせとしては、クーペでもスパイダーでもそのラップタイムやパフォーマンスに差がないということだ。これは、マクラーレンを称賛すべき事例であり、他のヨーロッパのスーパーカー・メーカーも見習ってもらいたいところでもある。

■「買い」か?

あなたが3000〜4000万円台でスーパーカーを選ぶとすれば、650Sよりも素晴らしいクルマを探すのは不可能だ。一般公道上でもサーキットであっても、もし650Sのステアリングを握ってしまえば、12Cよりもリッチでより強烈なドライビング・フィールに心動かされるだろう。そして、その存在に、フェラーリは怯えることになるに違いない。

(スティーブ・サトクリフ)

マクラーレン650S

価格 £195,000(3,360万円)
最高速度 333km/h
0-100km/h加速 3.0秒
燃費 8.6km/ℓ
CO2排出量 275g/km
乾燥重量 1330kg
エンジン V型8気筒3799ccツインターボ
最高出力 650ps/7500rpm
最大トルク 69.1kg-m/6000rpm
ギアボックス 7速デュアル・クラッチ

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