【エキサイティングな近未来】メルセデス・ベンツEQS 450+へ試乗 航続距離は778km

公開 : 2021.08.28 08:25

英国編集部は、従来のSクラスにかわるモデルではなく、メルセデスというブランド全体の未来を体現したモデルとして強く印象付けられたようです。

ドライバーが近づくと自動的に開くドア

執筆:Jim Holder(ジム・ホルダー)
翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
新しいメルセデス・ベンツEQSは、ブランド最新の純EVというだけではない。電動版のSクラスというわけでもない。フラッグシップとして今後すべてのメルセデス・ベンツに展開されるであろう、最新の技術を届けてくれる重要なモデルだといえる。

既存のメルセデス・ベンツ・オーナーだけでなく、いつかは乗りたいと考えている読者にとっても、大きな意味を持つ1台だと思う。少し興奮してしまうのは、筆者だけではないはずだ。

メルセデス・ベンツEQS 450+(欧州仕様)
メルセデス・ベンツEQS 450+(欧州仕様)

真新しいEQSを英国の路上で試乗するのは、今回が初めて。ただし量産仕様ではなく、まだ完成間際のプロトタイプだった。英国での販売価格も、明らかにはなっていない。

最終的な評価をくだすには、条件が整っていない。それでも、前回の試乗で90点の評価を与えたことが妥当だったのか、条件の厳しい道路環境で再確認することはできる。最終的な配点は、量産仕様がわれわれの手元へ届いてからだ。

2021年9月になれば、より詳しい情報が明らかになる予定。今後の詳細データテストの内容は、称賛に溢れるものになるだろうか。期待は高まるが、今回は先入観を抜きにして試乗しようと思う。

ドライバーがEQSへ近づくと、クルマが感知して自動的にドアが開く。初めてだと思わず驚いてしまう。そっと腰を下ろすと、素晴らしく贅沢なシートが迎えてくれる。

幅141cmもあるハイパースクリーン

まだ驚きは続く。ダッシュボードは幅141cmもある、ハイパースクリーンと呼ばれるモノフォルムのモニターがほぼ全面を覆う。オプションだが、3面のモニターが一体に統合されている。標準では、大きな2面のモニターが据えられる。

上級モデルの選択要素として驚きも欠かせないと思うなら、ハイパースクリーンはマストアイテムだろう。ひと昔前のSF映画の主人公が見たら、仰天して腰を抜かすかも。

メルセデス・ベンツEQS 450+(欧州仕様)
メルセデス・ベンツEQS 450+(欧州仕様)

この大画面には、長所だけでなく短所もある。止まった状態での操作は直感的でわかりやすい。しかし走行中は、前方から目線をそらす時間を最小限に留め、タッチミスで無駄な指紋を残さないように、音声認識を利用した方が効果的なようだ。

乗る時間が増えれば、使い慣れて勝手は良く感じられるかもしれない。だが少なくとも、曇りがちの天気でさえ、ハイパースクリーンに当たる外光の反射がドライバーの視界を奪うことがあった。

EQSの印象を決定付けるのは、路上での見事なまでの能力の高さだ。感心するほどに、2.5t近くあるボディは落ち着き払っている。今回試乗したのは控えめなパワーの450+だが、驚異的なスピードも備えている。

航続距離は公式で778km。楽観的な数字ながら、滑らかなボディ形状がエネルギー効率を高めていることは、見ただけでも伺い知れる。量産モデルとして最も空力性能に優れていると、メルセデス・ベンツは主張する。

充電時間は、急速充電器を用いれば残量10%から80%まで最短で30分。一般的な50kWの充電器でも、90分程度で済むという。

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