【ザ・実用クラシックカー】ボルボ240 英国版クラシック・ガイド 安全で堅牢 前編

公開 : 2021.08.28 07:05  更新 : 2021.08.30 07:38

故障が少なく安全。そんなボルボのイメージを確立したモデルといえるのが、240シリーズ。実用クラシックカーの代表選手的1台を、英国編集部がご紹介します。

ブランド・イメージを牽引した240

執筆:Malcolm Mckay(マルコム・マッケイ)
撮影:James Mann(ジェームズ・マン)
翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
ボクシーなデザインをまとい1960年代に成功を掴んだ、4ドアサルーンの140とステーションワゴンの145。それをベースに後継モデルとして進化したのが、今回取り上げるボルボ240系だ。

生産期間は1970年代半ばから1990年代半ばまでと、非常に長い。広々とした車内空間や堅牢性、安全性など、ブランドのイメージを牽引することになったモデルといえる。

ボルボ240シリーズ(1974〜1993年/英国仕様)
ボルボ240シリーズ(1974〜1993年/英国仕様)

フロントに搭載される4気筒エンジンは新設計。バルブとピストンが干渉しないベルト駆動のオーバーヘッドカムに、クロスフローのアルミニウム製ヘッドを採用している。それまでのプッシュロッド・エンジンと比較し、大幅な性能向上を達成していた。

ステアリングラックはラック・アンド・ピニオン式に、サスペンションはマクファーソン・ストラット式になり、シャシー設計は当時の最新といえるもの。フェイスリフトで5マイル・バンパーが与えられるが、違和感のないデザイン処理も魅力だった。

ボッシュ社製のKジェトロニック・インジェクションで燃料を供給し、初期のサルーンとステーションワゴンのエステートでは124psを発揮。デロリアンにも積まれた、PRV社製のドブランと呼ばれるV6エンジンも希望すれば搭載可能だった。数は少ないが。

240系の人気へ応えるように、244/240 GLTや2.8 V6といったスポーティなモデルも後年に登場。トランスミッションの性能も引き上げられた。

4気筒でも高い耐久性に充実した装備

調整域の非常に広いフロントシートには、運転を快適にしてくれる腰回りのランバーサポートを導入。耐久性を示すように、99万9999kmまで表示可能なオドメーターを初採用してもいる。

エステートには、熱線入りリアガラスにウォッシャー付きのワイパーを装備。オプションで後ろ向きに座る3列目シートを指定でき、定員を7名乗にすることも可能だった。1993年のモデル終了まで、2列目のリアシートは分割での折り畳みができない。

ボルボ240シリーズ(1974〜1993年/英国仕様)
ボルボ240シリーズ(1974〜1993年/英国仕様)

防錆性を高めるため、シャシーの要所部分には亜鉛メッキが施された。1988年からはドアやボンネット、トランクリッドも処理されている。

240系は世界中で販売され、英国未導入だった2ドアクーペの242GTや、244ターボ、5気筒や6気筒のディーゼル版なども製造されている。組み立て品質や装備が充実していた点も、各国で支持された理由の1つだろう。

1980年まで英国で売られていたディーゼルのDLでも、運転席にはヒーターが内蔵されていた。当時の試乗レポートを見ると、ライバルモデルと比較して装備の充実ぶりを褒める内容がしばしば登場する。

太いCピラーが特徴の、ベルトーネがデザインを担当した262 C 2ドアクーペは珍しく中古車価格も高い。しかし英国の場合、実際に需要が多いのはサルーンやエステートだ。

V6エンジンを積んだ240系の注目度は高い。ただし高性能を約束すると思いきや、正直期待はずれではあった。インジェクションの4気筒も同等に速く、耐久性では勝る。ステアリングやブレーキの性能は、240シリーズ共通で優れている。

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