【最新CクラスにPHEV登場】メルセデス・ベンツ C 300eへ試乗 EVモードで99km

公開 : 2021.10.16 08:25

最新Cクラスで、最も優れた燃費効率を持つPHEVの300e。最大のライバル、BMW 330e以上の洗練度と実力を備えると、英国編集部は評価します。

PHEVの上級サルーンとして現状の最適解

執筆:Richard Lane(リチャード・レーン)
翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
プラグイン・ハイブリッド(PHEV)に対する関心が高まる昨今だが、移動距離が長い英国の個人ユーザーにとって、さほど大きなメリットは得にくいというのが実情だ。

PHEVを選べば、優れた燃費でランニングコストを抑えることができる。だがそれは、PHEVに適した利用環境の場合に限られる。

メルセデス・ベンツCクラス C 300e AMGライン(欧州仕様)
メルセデス・ベンツCクラス C 300e AMGライン(欧州仕様)

EVモードで走れる距離は長いとはいえず、駆動用バッテリーの充電が切れてしまうと、増えた車重のために本来以上にエンジンは一生懸命働くことになる。燃費効率も悪化する。環境負荷の低減に矛盾していると感じても、不思議ではない。

しかし、新しいメルセデス・ベンツC 300eは、そんな否定的な考え方を改めてくれるかもしれない。PHEVという技術が、成熟しつつあることを体現している。

C 300eのEVモードで走れる航続距離は、カタログ上で99km。従来モデルの倍へ伸びている。

最大のライバルとなる、BMW 330eのEVモードでの航続距離は59km。アウディA4には今のところPHEVは存在せず、2023年まで待つ必要がある。

平日は純EVと同等に駆動用モーターだけで運転でき、週末やいざという時のために内燃エンジンと変わらない航続距離を備えたプレミアム・サルーンをお探しなら、新しいC 300eは、現状の最適解だといえそうだ。

C 300eには、ステーションワゴンもラインナップされる。訴求力を一層高めるボディスタイルだと思う。

パワートレインとシャシーの素晴らしい融合

ハイブリッド・システムのレイアウトは、見慣れた内容。25.4kWhと充分な容量を持つ駆動用バッテリーを車体後方の荷室フロア下に搭載し、エンジンとペアを組む駆動用モーターを動かす。

駆動用バッテリーは最大55kWの急速充電に対応し、最短30分で満充電になる。駆動用モーターは9速ATと一体になっており、最高出力は128psを発揮。エンジンは2.0Lの4気筒ターボガソリンで、最高出力は203psとなっている。

メルセデス・ベンツCクラス C 300e AMGライン(欧州仕様)
メルセデス・ベンツCクラス C 300e AMGライン(欧州仕様)

C 300eのシステム総合での最高出力は312psで、モデルチェンジ前より8psほど落ちているが、不足ない数字だろう。駆動方式は、当初は後輪駆動のみ。追って四輪駆動の4マティックも登場する可能性が高い。

PHEV化に伴い車重が増えていることもあって、C 300eは300馬力から期待するほど速くはない。正式な車重は発表されていないものの、約1850kgになるだろうと予想される。もっとも、PHEVは速く走るためのシステムではないのだが。

最新のCクラスの車内には、完全にデジタル化された環境が広がる。大きなモニターが据えられ、滑らかなデザインと豪華な設えで、価格が倍のSクラスを強く意識していることは明らかだ。

このC 300eでも、その難題はしっかりクリア。インテリアだけでなく、パワートレインとシャシーのマナーも出色といえ、素晴らしいブレンドに仕上がっている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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