日産、車種を約20%削減 EV/eパワーの2本立て 18か月で12の新型車

公開 : 2021.11.30 12:28

日産は2030年を想定した「ニッサン・アンビション2030」を発表。3つのコンセプトから将来が見えてきます。

グローバル車種を約20%削減

2030年を想定した長期ビジョン「ニッサン・アンビション2030」の中で、次世代に導入する様々なEVの原型が表に出た。

日産は2019年に発足した内田社長新体制の下、長らく日産に影響力を持ったカルロス・ゴーン体制による事業計画を大幅に見直してきた。

「ニッサン・アンビション2030」の中で発表された3種のコンセプト。左から順に、日産サーフ・アウト/マックス・アウト/ハング・アウト。
「ニッサン・アンビション2030」の中で発表された3種のコンセプト。左から順に、日産サーフ・アウト/マックス・アウト/ハング・アウト。    日産

2019年の決算報告では、大幅な赤字体質からの根本的な脱却を目指し、事業構造改革計画「ニッサン・ネクスト」を掲げた。

計画の中核として、生産能力の最適化、固定費の削減、そして商品ラインナップの効率化という「最適化の三本柱」を立てた。

こうした中で、一般ユーザーにとって最も気になるのは、商品ラインナップの効率化であろう。

言い方を変えれば、消滅する車種が出てきたり、ルノーニッサン三菱アライアンスの中で日産が直接開発にタッチしない兄弟車が増える可能性があるからだ。

具体的には、2023年度までにグローバルで車種数を69から55まで約20%も削減。いわゆる地域限定モデルを最小化。

そして、小型・中型車であるC/DセグメントとEVに開発資源を集中することを決めた。

そのうえで、ニッサン・ネクスト発表から18か月間に12の新型車を投入するとした。

その中には、EVのアリアや、北米向けSUVのローグ(日本ではエクストレイル)などが含まれる。

肝心な日本のEVはどうなる?

ニッサン・ネクストでは、電動化についてEVとeパワーの2本立てを強調してきた。

日本市場については、EVは現行のリーフ、商用車のe-NV200、アリア、そして2022年前半に量産型が公開される予定の軽EVという4モデルだ。

長期ビジョン「ニッサン・アンビション2030」発表時の様子。
長期ビジョン「ニッサン・アンビション2030」発表時の様子。    日産

また、eパワーについては、第2世代eパワー搭載のノート、初代eパワー改良型のキックスセレナeパワー搭載がある。

では、これから先のEVとeパワーはどんなモデルとして登場するのだろうか?

ここで、時計の針を少し戻してみると、リーフが誕生した2010年代初頭、当時の日産幹部のEV構想としては、リーフを主軸として2ドアスポーツカー、SUV、商用車、そして高級車としてインフィニティといったEVプラットフォームの横展開の将来図を描いていた。

だが、リーフの普及は日産が当初計画していたほど急激には進まず、結果的にリーフ派生車はe-NV200のみだ。

そうした過去の経験も踏まえて、長期ビジョン「ニッサン・アンビション2030」では、次の10年に向けた具体的なEV構想が明らかになった。

内田CEOは今期の上期決算発表の場で「今年の後半には、ニッサン・ネクストのさらに先を見据えたビジョンを正式発表する準備を進めている」を語っていた。

今回公開された内容は、一般ユーザーにとっても、報道陣にとっても、かなり深い内容だったといえるのではないだろうか。

記事に関わった人々

  • 執筆

    桃田健史

    Kenji Momota

    過去40数年間の飛行機移動距離はざっと世界150周。量産車の企画/開発/実験/マーケティングなど様々な実務を経験。モータースポーツ領域でもアメリカを拠点に長年活動。昔は愛車のフルサイズピックトラックで1日1600㎞移動は当たり前だったが最近は長距離だと腰が痛く……。将来は80年代に取得した双発飛行機免許使って「空飛ぶクルマ」で移動?

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