2台の“小さな”トヨタEV 乗って気づいた、意外な作り込み 課題は価格か

公開 : 2021.12.01 21:50  更新 : 2021.12.01 22:15

トヨタの1人乗りEV、2人乗りEVを試乗レポート。課題はやはり価格のようです。中国の“45万円EV”にも試乗してきた会田肇さんがレポートします。

1台目 トヨタC+Pod(2人乗り)

執筆:Hajime Aida(会田肇)
撮影:Keisuke Maeda(前田恵介)
編集:Tetsu Tokunaga(徳永徹)

トヨタが昨年12月より自治体などを対象に限定販売してきた超小型EV「C+Pod(シーポッド)」が、いよいよ2022年より個人向けにも販売開始される。

このクルマは、2021年9月の道路運送車両法の改正によって新設された「超小型モビリティ(型式指定車)」の適合第1号として誕生した。

トヨタのEV、左上が1人乗りの「トヨタC+walk T」、右上が2人乗りの「トヨタC+Pod」。実際に触れて、操作して、こうしたEVの現状と今後を考えます。
トヨタのEV、左上が1人乗りの「トヨタC+walk T」、右上が2人乗りの「トヨタC+Pod」。実際に触れて、操作して、こうしたEVの現状と今後を考えます。    前田惠介

超小型モビリティの型式指定車は、ボディサイズが全長2.5m以下、全幅1.3m以下と、これまでの原付ミニカーと同サイズと定められている。

型式指定車となることで衝突安全試験の破損試験が課せられたほか、エアバッグ、ABS、VSCなど軽自動車と同等の安全性能も義務付けられた。一方で最高速度は60km/hと制限され、高速道路は走行できない。

こうした枠内で開発されたC+podは、その特性を活かして“ご近所グルマ”として十分な性能を発揮できるように設計された。

車体寸法は全長2490×全幅1290×全高1550mm。この枠内で衝突安全性能を確保するために前方に余裕を持たせ、実用的なカーゴスペースを確保した結果、定員は2名となった。

C+Podを前にすると、全高は軽自動車に近いが、全長/全幅は見た目にもかなり小さく感じる。

しかし、運転席に座ると外観で見た印象よりも狭苦しさはない。シートは十分な前後移動調節ができる上に、ハンドルがチルト&テレスコピックに対応したことで幅広い人に適応可能となっている。

大柄な人が2人乗車すれば肩が触れる可能性はあるが、街乗りを中心とした走行ならとくに気になることはないだろう。

一方で、このサイズでの展開だけに割り切りは随所に見られる。

普通と違う? ないモノ/あるモノ

たとえばウインドウの開閉は手動で上下するタイプで、これは側面衝突の安全基準を満たすために採られた措置。

冷房はクーラーで対応するものの、暖房はシートヒーターで対応するのみ(※両装備ともGグレードのみ)となった。

トヨタC+Podの車内。パーキングボタン「P」はない。シートの前後調節、ハンドルのチルト&テレスコピックに対応したので、様々な体格に適応。荷室の写真もとることができた。
トヨタC+Podの車内。パーキングボタン「P」はない。シートの前後調節、ハンドルのチルト&テレスコピックに対応したので、様々な体格に適応。荷室の写真もとることができた。    前田惠介

ただ、近距離移動を重視したコンセプトを踏まえれば、この方が即冷/即暖のメリットがあるのかもしれない。

操作系は?

ダッシュボード中央部にスイッチ類が配置され、走るためのボタンはその右列に上から前進(D)、ニュートラル(N)、後退(R)の順に並ぶ。

EVの多くにあるパーキング(P)はなく、駐車ブレーキは機械式の足踏みタイプとなる。スタートはイグニッションをSTARTに入れて「D」に切り替え、アクセルを踏めばスルスルッと動き出す。

一般的なAT車にある「クリープ」はなく、アクセルペダルの踏み込み量に応じて前進していく。多くのEVのようなトルクフルな動きは見せず、走りは比較的ゆっくりだ。

強めに踏み込んでも40km/hあたりからは加速が緩やかになるので、誰が乗っても速度調整はしやすそう。パワーステアリングは装備されていないが、重くて回せないほどではなく、最小回転半径を3.9mとしたことで取り回しはかなり良い。

ただ、ブレーキによる回生システムは備えるものの、EVらしい回生効果はそれほど強くないため、アクセルを離しても特別な減速Gはほとんど感じなかった。

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