2台の“小さな”トヨタEV 乗って気づいた、意外な作り込み 課題は価格か

公開 : 2021.12.01 21:50  更新 : 2021.12.01 22:15

中国“45万円EV”の存在

個人的にはストップ&ゴーが多い市街地での利用がメインとなるなら、回生を利用した加減速をもっと積極的に活用した方が良かったのではないかと考える。

搭載したリチウムイオンバッテリーの容量は9.06kWhで、フル充電した航続距離は150km(WLTCモード)。

上がトヨタC+Pod、下が“45万円EV”こと中国の宏光ミニEV。
上がトヨタC+Pod、下が“45万円EV”こと中国の宏光ミニEV。    前田惠介/会田肇

充電はAC200V/100Vに対応するが、普通充電のみの対応となり、所要時間はAC200Vで5時間、AC100Vでは16時間とされている。

加えてC+podは給電機能(合計1500W)を備えており、いざという時の電源としても役立つ。

私はこのC+podに試乗する前に、“45万円EV”で話題になった中国の「宏光ミニEV(以下、宏光))」に乗る機会を得た。

宏光はアクセルを踏み込むとスムーズに速度を上げていき、その加速力はC+podよりも明らかに上。走行ノイズもかなり抑えられていた。

最高速もスペック上で100km/hを謳っており、高速走行時の安定性まではわからなかったが、少なくとも市街地の走行では宏光に軍配が上がる印象だ。

一方で宏光はABSは装備されていたが、それ以外の安全性能はほぼゼロの状態。エアバッグも装備されないし、ボディの衝突性能も明らかにされていない。

だからこそ低価格を実現できたとも言えるが、一方でC+Podの価格は「X」が165万円、「G」が171.6万円で、補助金22万円があるとはいえ、それでも高めに感じるのは私だけではないだろう。

2台目 C+walk T(1人用立ち乗り)

続いて、トヨタが歩行領域での新たなモビリティとして誕生させた「C+walk T(シーウォークティー)」についても、レポートしておきたい。

このモデルは、2017年に開催された東京モーターショーで「TOYOTA Concept-愛i WALK」として公開されたものをベースに開発。立ったままの姿勢で乗車するラスト・ワンマイルの3輪BEVとしている。

“熟練者モード”では最高速度10km/hが可能に。同モードで旋回する際は、イン側に身体をやや傾けるのがポイントと開発陣がアドバイスしてくれた。
“熟練者モード”では最高速度10km/hが可能に。同モードで旋回する際は、イン側に身体をやや傾けるのがポイントと開発陣がアドバイスしてくれた。    前田惠介

ボディサイズは全長700mm、全幅450mm、全高1210mmで、前1輪、後ろ2輪の3輪EVとなっており、走行時は前輪のインホイールモーターで駆動する。

モーターの最高出力は0.35kWで、ステップ内に総電力量0.27kWhの脱着可能なリチウムイオンバッテリーを搭載。

充電は100Vで行い、約2.5時間で満充電となる。航続距離は14km。

ただ、現時点では日本の公道を走行することはできず、限られたエリアで走行するしかないが、シニアカーと同等の扱いで公道を走れる関連法規の改正の動きも見られるという。

C+walk Tに乗ってみると、これがすごく楽しい。

電動キックボードのような不安定さはまったくなく、乗り始めてすぐスムーズに走ることができたのだ。

速度設定は2、3、4、5、6、10km/hの6段階から選べ、設定するとその速度以上には上がらず安心して走れる。

回生での減速もそこそこあって、アクセルレバーを離せば即座に減速するのもいい。さらに専用キーで最高速度10km/hが可能となる“熟練者モード”に設定すると、マラソン程度の速度で移動できるようになり、この速度は想像していた以上に爽快だった。

関連テーマ

おすすめ記事

 

トヨタの人気画像