11月の新車販売 登録車は4社が前年比プラス トヨタは2ケタ減が続く

公開 : 2021.12.02 05:45

11月の日本車の新車販売をレポートします。市場は減産に揺れていますが、登録車では4メーカーが前年比プラスに。一方の軽自動車は、全ブランドがマイナスです。

登録車 ダイハツ/三菱は2ケタ増

執筆:Naojiro Onuki(大貫直次郎)

半導体の不足など供給パーツの遅滞が続き、多くのブランドが減産・生産調整を余儀なくされた日本の自動車業界。

2021年11月の国内新車販売台数は、9月や10月ほどではなかったものの、その影響が数値となって表れた。

11月の登録車販売で前年比プラスを達成したのは4社。ロッキーにハイブリッド車が加わったダイハツ、ヴェゼルが販売を牽引するホンダ、セレナの特別仕様車を投入した日産。そして三菱は、12月中旬に発売日を迎える新型アウトランダーに期待が高まる。
11月の登録車販売で前年比プラスを達成したのは4社。ロッキーにハイブリッド車が加わったダイハツ、ヴェゼルが販売を牽引するホンダセレナの特別仕様車を投入した日産。そして三菱は、12月中旬に発売日を迎える新型アウトランダーに期待が高まる。

11月の登録車の新車販売台数は、前年同月比13.4%減の21万9276台と3か月連続のマイナス。

一方、11月の軽自動車の国内新車販売台数も、同16.0%減の13万3179台と6か月連続でのマイナスとなる。

結果として、トータルでの国内新車販売台数は、同14.3%減の35万2455台と5か月連続での前年割れを記録した(自販連/全軽自協まとめ:速報値)。

ただし、9月の同32.2%減(31万8371台)、10月の同31.3%減(27万9341台)と比べると、マイナス幅は縮小している。

登録車の11月のブランド別新車販売台数では、ロッキーのハイブリッドモデルを発売したダイハツが、前年同月比71.9%増の5319台。

PHEVモデルの受注が堅調な三菱自が、同44.6%増の2191台と2ケタ増を達成。

また、新型ヴェゼルや新型シビックが販売を伸ばすホンダは、同3.8%増の2万4368台。新型ノート・オーラおよびノートの売り上げが好調な日産は、同2.2%増の2万1767台とプラスを達成する。

それ以外のブランドはすべてマイナスで、トヨタは同17.8%減の11万305台。

スズキは同6.3%減の7948台、マツダは同20.8%減の7910台、スバルは同11.2%減の7473台、レクサスは同42.5%減の3235台を記録。このうちマツダは、6か月連続での前年割れとなった。

軽は全社マイナス 今後の展望は?

軽自動車の11月のブランド別新車販売台数では、全ブランドがマイナスに落ち込む。

そのなかで、前年同月比15.8%減ながら4万4238台を販売したダイハツが、3か月ぶりにシェアトップを奪還。

主力のタントを秋に一部改良したダイハツ。画像は「カスタムRSスタイルセレクション」で、電動パーキングブレーキ、オートブレーキホールド機能、コーナリングトレースアシストを標準装備する。
主力のタントを秋に一部改良したダイハツ。画像は「カスタムRSスタイルセレクション」で、電動パーキングブレーキ、オートブレーキホールド機能、コーナリングトレースアシストを標準装備する。

前月首位のスズキは、同12.9%減の4万2331台と伸び悩んで第2位に陥落した。

一方、ホンダは同18.3%減の2万3021台、日産は同24.3%減の1万4384台、三菱自は同12.2%減の2524台と苦戦。

さらに、OEM供給を受けるブランドも、マツダが同3.1%減の2799台、トヨタが同3.3%減の2794台、スバルが同32.3%減の1086台と前年割れを記録した。

11月の新車販売に関して業界団体の関係者は、「登録車と軽自動車ともに多くのブランドが減産や生産調整を実施し、それに伴って納車スケジュールの遅れや受注残、さらに新車発表の延期も発生して、結果的に11月の新車販売台数は低落傾向を示した」と解説する。

今後の展開については、「新型コロナの感染減に伴ってユーザーの購入意欲は回復基調にあり、ディーラーへの客足やオンラインによる商談も増加傾向にある。また、発表された新型車の初期受注も好調なモデルが多く、年末年始に向けて販売台数が復調する可能性は十分にある。サプライヤーの生産能力の回復によって半導体などパーツの供給不足も薄れる傾向にあり、主要メーカーは12月以降、減産幅を縮小する見通しだ」と分析する。

さらに「政府が令和3年度補正予算案に『クリーンエネルギー自動車・インフラ導入促進補助金』を盛り込んだことも、需要喚起のうえでプラス要素となるだろう。一方、新変異ウイルスのオミクロン株が日本で広まった場合には市況の減退および生産の再調整などが起こる危険性もあり、海外の動向と共に注視していく必要がある」と指摘した。

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