ボルボXC90(初代) ラグジュアリーSUVの火付け役 英国版中古車ガイド

公開 : 2022.01.20 08:25

12年間という長いモデルライフで、ボルボ製SUVの基礎を築いた初代XC90。英国編集部が、その魅力をご紹介します。

上級ブランド全体に影響を与えたSUV

初代XC90は、ボルボ渾身のゲームチェンジャーだった。ブランド初の本格SUVなだけでなく、上級ブランド全体の流れにも大きな影響を与えたモデルだったといえる。

それまではミニバンがファミリーカー市場で幅を利かせていたが、XC90の登場で、都会的なライフスタイルSUVの浸透が加速したといっていい。本格的なアウトドア派に限らない、SUV時代を切り拓いた1台だ。

ボルボXC90(初代/2002〜2014年/英国仕様)
ボルボXC90(初代/2002〜2014年/英国仕様)

初代XC90が発表されたのは、2002年のデトロイト・モーターショー。サルーンのS80やクロスオーバーのXC70なども採用した、P2と呼ばれるプラットフォームをベースとしたモデルとしては、最大の車格を持っていた。

平均的なモデルライフが6年前後というなかで、XC90は12年という長い期間、製造が続けられていたことも特徴。ボルボは細かな改良を加え続け、優れた快適性や実用性、安全性などをブランドの強みとして維持していた。

車内は広々としており、大人7名での移動にも充分。2列目や3列目をたたむことで、簡単に広げられる荷室空間も使い勝手が良い。

快適性に振った味付けは、シャシーやサスペンションのチューニングでも明らか。長距離を疲れることなく、移動することを許してくれた。

XC90は四輪駆動を売りにしていたが、一般的な条件では前輪駆動として走るように設定されている。一部の市場では前輪駆動版も投入されており、XC90の都会派ぶりが垣間見れる。

多様なエンジンに充実した装備

2002年の発売時に用意されたエンジンは2種類。163psを発揮する2.4Lディーゼルターボ、D5は、英国で高い支持を集めている。271psを発揮する2.9Lガソリンツインターボ、T6のたくましさも魅力といえた。

2004年には、213psを発揮する2.5LガソリンターボのT5が登場。2006年にXC90は初のフェイスリフトを受け、スタイリングの小変更と内装の高品質化が図られている。

ボルボXC90(初代/2002〜2014年/英国仕様)
ボルボXC90(初代/2002〜2014年/英国仕様)

時期を同じくし、T6は3.2Lエンジンへスイッチ。トップグレードとして、4.4L V型8気筒を搭載したRデザインが2009年に投入されている。最高出力は315psを誇った。後を追って、2.4Lディーゼルターボも改良を受けた。

2011年には、最終仕様のD5が登場。英国では、現在の中古車市場の中心を占めている。2012年に2度目のフェイスリフトが施されるが、2014年に2代目XC90が発表され、初代の生産は終了した。

基本装備は、初期型のエントリーグレードでも充実している。だが、アダプティブサスペンションにクルーズコントロール、パーキングセンサーなどが標準装備に追加された、2009年以降のXC90がオススメといえる。

欧州仕様の場合、上級グレードにはシートヒーターにレザー内装、マッサージ機能付きのパワーシート、高音質なサウンドシステムなども選べた。購入時は装備を確認したい。

よりスポーティなドライビング体験を求めて2006年に設定されたのが、SEスポーツ。パワフルなガソリンエンジンにクロームメッキ・テールパイプを備えたエグゾースト、彫りの深いスポーツシートなどが装備され、ルーフレールは省かれている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジャック・ウォリック

    Jack Warrick

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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