ルノー・アルカナR.S.ラインEテック・ハイブリッド試乗 カングーの軽さ、ルーテシアのしっかり感

公開 : 2022.04.29 05:45

ルノー・アルカナR.S.ラインEテック・ハイブリッドに試乗。ルノーテイスト好きにはうってつけの1台です。

レゴから生まれたハイブリッド

AUTOCAR英国編集部による長期レポートを見る限り、完成度が高そうな、輸入車初のフルハイブリッドモデルであるルノーアルカナ。そのステアリングをようやく握ることができた。

アルカナに用いられているハイブリッド・システムはサプライヤーが開発してルノーに売り込んだものだろうと思っていたのだが、実際の誕生秘話を聞いて驚かされた。

ルノー・アルカナR.S.ラインEテック・ハイブリッド
ルノー・アルカナR.S.ラインEテック・ハイブリッド    前田惠介

ルノーのエンジニアがレゴブロックを使って(!)ハイブリッド・システムについてあれこれ考えていて思いついた、いうのだから面白い。

とはいえ機構の詳細やドグクラッチを使ったという特徴的なギアボックスを紐解いていくと結構な文字量になってしまうし、AUTOCARの記事でもすでに書かれているので、今回は割愛することにした。

ノワールメタルMという黒い試乗車は、最初小山のように大きく見えた。

車高がグンっとリフトアップされており、20cmものグラウンドクリアランスが確保されている影響が大きい。

それでも腰高感がないのは、リアボディがシュッと窄まったSUVクーペ・スタイリングの恩恵だろう。

BMWのX4あたりと同等かと思いきや、実際のボディサイズをチェックしてみるとひとまわり小さい。

SUVクーペとしてサイズ感が近いのはアウディのQ3スポーツバック。

ハイブリッドという点では全長全幅は現行モデルのプリウスにかなり近い。

つまり日本の交通事情にジャストフィットするサイズである。

モーターのパワーよりも際立つ軽さ

試乗前にアルカナのスペックを見ていて気になったのは、CセグメントSUVにしてハイブリッドであるにもかかわらず車重が1470kgと軽いこと。

そして価格が429万円とリーズナブルに感じられることだった日本市場に導入されるグレードはR.S.ラインEテックのみでオプション設定もとくにないので、ドイツ車のように「実際の乗り出し価格にビックリ」ということもなさそうだ。

ルノー・アルカナR.S.ラインEテック・ハイブリッド
ルノー・アルカナR.S.ラインEテック・ハイブリッド    前田惠介

ブラックのボディに呼応するように室内も黒でまとめられており、赤いラインがアクセントになっている。

ダッシュパネルや操作系の形状は既存のルノー車でおなじみのもの。

物理スイッチ類が多く、インフォテイメントのモニターは小さめ。

ダッシュボードやセンターコンソールなどは樹脂の表面を活かした実用的な仕上げでフランス車らしさが漂う。

ハイブリッドの証であるエネルギーフローの表示はメーターパネルの右側にあった。

これはプリウスでおなじみ、バッテリーとエンジンと駆動輪のパワーのやり取りをリアルタイムで表示するもの。

表示が小さいので走行中にちゃんと確認することは難しそうだ。

電源を入れ静かに発進する様子はハイブリッドそのもの。

だがモーターの力強さよりも乾いて硬い感じのボディの軽さが際立って感じられる。

上り坂だったのでエンジンの介入は早めだったが、もちろんモーターからエンジン+モーター、そしてエンジンのみという一連のパワーの流れには一体感がある。

走りはじめの印象は上々だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。BMW 318iコンパクト(E46)/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 撮影

    前田惠介

    Keisuke Maeda

    1962年生まれ。はじめて買ったクルマは、ジムニーSJ30F。自動車メーカーのカタログを撮影する会社に5年間勤務。スタジオ撮影のノウハウを会得後独立。自動車関連の撮影のほか、現在、湘南で地元密着型の写真館を営業中。今の愛車はスズキ・ジムニー(JB23)

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