スコダ・オクタビア・スカウト2.0TDI 4×4

公開 : 2014.07.16 23:40  更新 : 2017.05.29 18:40

■どんなクルマ?

チェコ共和国にあるスコダの擁すオクタビア・スカウトは、人気と実用性を欲しいままにするエステートのオフロード版だ。

最新のスコダのスタイリングを取り入れただけでなく、数多のオフロード性能に特化した技術革新がこのクルマには投入されている。

高い走破性の種となるのは、第5世代の ’ハルデックス’ 4WDシステムのによるものだ。

このシステムは電気による制御と、車体中央に位置する油圧オペレーションによるクラッチ・パックの力で自動的に制御されたトルクを送る仕組みとなる。

仮に車輪が空転すればトルクはカットされ、またより多くの力を欲すれば、さらにトルクを送り込む。それだけではなくハルデックス・システムは車速とステアリングの切れ角によってもトルクを制御するという。

先代と異なる点は、クラッチに向けてアキュムレーターによるトルク供給がなされない点だ。その代わりに、直接的に電気制御ポンプを通してクラッチに供給される。

システムは更にシンプルになるため、反応速度は速まり、1.4kgのダイエットに成功にも寄与した。電子デフ・ロックは標準装備、前後アクスルに働きかけ、オフロードでのトラクション向上にも寄与するという。

更に変化著しいのはスカウトの地上高だ。最低地上高は先代に比べて31mm高となり、トータルでは171mmまで嵩上げされた。

さらに樹脂製のフェンダー・アーチ・モールやバンパーに加えて、’ラフ-ロード・パッケージ’ を選択すれば、アンダー・ボディ・パネルや、スカウト・オリジナルの前後バンパー、ドライバー・コントロールの幅を増やす2モードESCシステムも備わる。

加えて標準のオクタビアとの差別化を目的とした逞しい印象をあたえる17インチ・アロイホイールが標準装着されたり、横幅の広いタイヤが採用されている。

■どんな感じ?

地味ではあるが素晴らしい。特に即効性の高いトラクションは、ドライバーに自身を持たせてくれる。

2.0ℓのターボ・ディーゼル・エンジンは182psと38.7kg-mを6速のデュアル・クラッチ・トランスミッションと先述のハルデックス・システムに送り込む。

スタンディング・スタートからパンチのあるパワーを発揮し、ドライブ・トレインは応答性が高いため結果として、速やかかつコントロール性が高くなり、繰り返される加減速にも柔軟に対応する。

0-100km/hに要する時間は7.8秒で最高速度は219km/h、両方の値は無理なく得ることができる。速度が上がればエンジン音がかなり目立つようになるが、エンジンそのものは怠惰な側面を持たず、どの回転域でも淀みなく回る。

DSGトランスミッションによる変速は速くスムーズ。マニュアル・モードが必要となったときには、シフト・レバーから操作可能だ。

車高が高められたにも関わらずドライブ・マナーはよく、姿勢を崩す素振りを見せない。ほんの僅かなボデイ・ロールは当然認めざるを得ないうえ、標準のオクタビアに比べると僅かではあるがジリジリとアンダーステアが顔を覗かせるが、概してドライビングを楽しむことができるし常に落ち着き払っていると感じる。

フロントのマクファーソン・ストラットとリアのマルチリンク・サスペンションには改良が施されたおかげで、高速域での車線変更時も安定感を保ち続ける。

また車高変化によって乗り心地を妥協している点は一切ない。たとえ大きな凹みや轍を乗り越えたとしても、衝撃は巧みに丸め込まれているし、素早く静かにバンプをいなす事に長ける。

ステアリングだけが、オンロードにおけるスカウトのマナーを少しばかり悪いものに変える。リニアリティ豊かで正確なのは事実だけれど、属すクラスやターゲットとなる市場を考慮するともう少しフィードバックが多いと良いのではないだろうか。

制動力には満足でき、レスポンスはスムーズだ。またブレーキの微調整を正確にそして簡単に行うことができる点も好印象のひとつと言える。ハンド・ブレーキの機械的構造は標準的で、パーキング・ブレーキに際しても迅速でよくコントロールされている。したがってすべてのスカウトに通づるオフロード・マナーを今回のモデルでも体現していると言って良いだろう。

いざオフロードへと連れ出せば、路面を踏み固めながら実直に前へ前へと進んでいく。揺るぎないオフロード性能を確固たるものにする瞬間だ。小石が撒かれたスロープや岩棚、傾斜の急な箇所や濡れた路面、ぬかるんだ道でも、簡単に、そして最小限のホイール・スピンにて走り抜けることができた。

文字通りの田舎道を走り抜ける際も車内は常に快適だ。例えば砂利が敷き詰められた傾斜で坂道発進をする際にもこちらが慌てる必要はないし、このクルマの与えてくれる安心感にすっかり頼りきるかたちとなる。

四方の視認性の良さも手伝って、駐車上などでの扱いは非常に簡単だ。ボンネットの先まで見通すにはシートの高さを上げたほうがさらに視認性がよくなるのだが、シートの調整も迅速なので煩わしく思うことは無いだろう。

2000kgまでならば牽引でき、平均燃費は19.6km/ℓ、一度の給油で966kmまで走行することができる。1kmあたりのCO2排出量は134gとなり、これは英国では毎年支払う道路税がたったの£130(1万9千円)で済むということも意味する。

インテリアの大半は従来のエステートやセダンと共通の意匠となる。ただし悲嘆する事なかれ。もともとのデザインが悪くないゆえ、オクタビア・スカウトの印象もさして悪いものではない。仕上げは丁寧で、レイアウトも直感的だ。その上快適で静か、広さも十分に確保される。

4人の大人が楽に座ることができ、リア・シートをたためば荷室容量は更に拡大することができる。また潜在的にタイヤに与えるダメージが大きいことも予想されるため、スペースを確保しながらもスペア・ホイールが用意されることはオーナーにとってはよろこばしい。

小物入れは一貫して多く、高さや長さを調整することのできるフロント・アーム・レストなど細部にも抜かりがない。

オート・エアコンなどの標準装備も包括的で、オプションにてレーダー・ガイド・クルーズを選択することも可能だ。最初から、フィラー・キャップ部にアイス・スクレーパーは用意されている点も、なるほどスコダらしい。

これほど満足できると、逆に重箱の隅をつつくような見方をしてしまうのも無理はない。強いて言うなら、サンバイザー裏のミラーにライトが無い所などは目についた。またステアリング・コラムやペダルにはディーゼル・エンジンの振動を常に感じた点も改善の余地ありだ。

さらに、センター・トンネルにシートが寄りすぎていることにより、常時膝が当たっていたこと、またドア・アームレストからの距離を感じざるを得ない点は、このクルマに乗った何人かが気になるかもしれない。

ただし、高いレベルで洗練されたプロダクトだけに、些細な欠点がきになるのは我々のようなテスターだけでのことかもしれない。

■「買い」か?

大半の道路では、購入者の大部分が二輪駆動のオクタビアで十分だろう。

しかし轍に入ったり、野原を横切ったり、傾斜を登る場合には二輪駆動では少しばかり力不足になり得る。

冬時には冬用タイヤを購入すれば、あるいは四輪駆動車にスタンダード・タイヤを履かせている時よりも力を発揮するかもしれない。

しかしオクタビア・スカウトの成し得たオフロード走破性能は、通常の道路でも力を発揮するのである。言い換えれば、いままでよりも簡単に、自信をもって運転することができるのだ。

車高が高まったおかげで無用な心配をするようなシチュエーションは低減されるし、なにより速やかに、そして快適に移動することができるのだ。

樹脂製のモールやフェンダーのお陰で、臆病になる必要だってなくなる。さらにハルデックス製の4WDシステムとディーゼル・エンジンの組み合わせは、あらゆるシチュエーションを楽にこなすことだってできるのだ。

バリュー・フォー・マネーの観点で見てもスカウトはライバルを退ける。兼価版のBMW 3シリーズ xDrive ツーリングや、フォルクスワーゲン・パサート・オールトラック、アウディA4 オールロード クアトロは数十万円高いのだから。

したがって実用性とオフロードにおける能力を持ったクルマをお探しならば、オクタビア・スカウトはベストな選択となるだろう。

また四輪駆動のみの恩恵に授かりたいというのであれば、オクタビア・スカウトよりも£5000(74万円)安価なスコダ・オクタビア 4×4の購入をおすすめする。

(ルイス・キングストン)

スコダ・オクタビア・スカウト2.0TDI 4×4

価格 £27,990(490万円)
最高速度 219km/h
0-100km/h加速 7.8秒
燃費 19.6km/ℓ
CO2排出量 134g/km
乾燥重量 1559kg
エンジン 直列4気筒1968ccターボ・ディーゼル
最高出力 182ps/3500-4000rpm
最大トルク 38.7kg-m/1750-3000rpm
ギアボックス 6速デュアル・クラッチ

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