メルセデス・ベンツC250ブルーテック・エステート

公開 : 2014.07.16 23:50  更新 : 2017.05.13 12:51

■どんなクルマ?

実のところ人気を博すCクラス・セダンと比較して、こちらのワゴンは眼を見張るほどの改善点は見受けられない。

先代のCクラス・ワゴンは全体の売上の20%に留まった。アウディA4アバントの半分だ。

しかしこの比率も現行のW205型からは変化がありそうなのだ。荷室容量はシートを畳まずに490ℓ、畳めば1510ℓまで拡大(現段階ではクラス・ベスト)、それだけではなく後部座席は40:20:40に分割でき、セルフ・レベリング・エアサスペンションが組み合わされるのが大きな要因だ。特にエアサスは重量物の牽引にも大きく力を発揮する。

エンジン展開はつい最近デビューしたセダンに習い170psのC220と204psのC250ブルーテックが用意され、184psのガソリン・エンジンが組み合わせられるC200とともに英国では9月から発売される。

その後には、さらに経済的なC200ブルーテック・ディーゼルとディーゼル・エレクトリックのC300ブルーテック・ハイブリッドも展開に加えられる予定だという。しかしながら6気筒ターボ・ディーゼルの採用予定はなく、ここ英国ではC400 V6の販売予定もないのだそうだ。

■どんな感じ?

まずは先代との数値比較からとしよう。ホイールベースは80mm、全長は100mm延長されている。また後部座席のレッグ・スペースは45mmの拡大に成功した。このクルマのライバルに対して、少しばかり後部座席が狭く感じたが、パノラミック・サンルーフをオプション選択すれば長身の大人でも窮屈に感じることは無いだろう。

前部座席のスペースは優秀で、荷室容量にも満足できる。床や側面はフラットになっており、トランク・ルームの拡大にも手間と時間を要することはない。

性能に関してはセダンと等しく、いかなるシチュエーションにおいてもリラックスして運転できる。ただし概して、目立った長所は見つけにくい。

キャビンへの音の侵入は皆無と言えば嘘になるが、ボンネットの下でどんなエンジンがうごめいているかは巧妙にカモフラージュされている。しかしながら、テスト車両における19インチ・アロイホイールとエア・サスペンションとの組み合わせによるロード・ノイズには想像を裏切られる結果となった。

C220に比べてC250の中速域ではある意味熱っぽく運転することができる。ただし先代に比べると僅かながら洗練に欠ける印象は拭えなかった。

C220とC250の価格差は£3,000(44万円)。その価格差はギアボックス一つをとっても満足できる。その上、両者には燃費やCO2排出量の差が無いのだから、直感的にC250の方が金額に対する対価が大きいことが見て取れるだろう。

トランスミッションによる変速マナーは一貫してスムーズで賢く、マニュアル・モードに切り替えれば変速速度は向上される。ペダルによる入力に対するレスポンスは優れ、パワー供給は(いくぶん気力に満ちすぎなくもないが)ミドル・レンジにおいては柔軟性に富む。

モーターウェイに連れ出せばエア・サスペンションは極上なる快適性を与えてくれる。高速域では凹凸を見事にいなし、長距離でもドライバーを疲れさせることはない。

ただし手の込んだボディ構造を持ったクルマや、スチール・サスペンションを組み込んだ ’スポーツ’ スペックのモデルに比べると突如として現れるバンプには弱いため衝撃は容赦なくキャビンに伝わり、乗り心地を損なうことになる。

われわれの経験ではスチール製のバネを組み合わせたグレードの方が正確かつ気持ちよく操舵ができた。またいかにも人工的なフィールを与える ’ダイレクト・ステア・スポーツ’ なる可変ステアリング・ギアレシオの選択はおすすめしない。

■「買い」か?

セダンで成し得たエレガントなデザインをワゴンでも巧く表現している点は賞賛に値する。

スペースや効率は同クラスのスタンダードにきちんと乗っ取っており、素材の質や洗練はクラスを牽引するレベルへと達した。

もちろんいいクルマなのは間違いない。しかしベターからベストの領域に食い込もうとするならば、2015年にダイムラー製の新型エンジンを投入するまでに、もう少しシャシーのブラッシュアップを図る必要があるのではないだろうか。

(マット・ソーンダース)

メルセデス・ベンツC250ブルーテック・エステート

価格 £33,220(579万円)
最高速度 241km/h
0-100km/h加速 6.9秒
燃費 22.2km/ℓ
CO2排出量 117g/km
乾燥重量 1660kg
エンジン 直列4気筒2143ccターボ・ディーゼル
最高出力 204ps/3800rpm
最大トルク 51.0kg-m/1600-1800rpm
ギアボックス 7速オートマティック

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