フォルクスワーゲン・ポロSE 1.2TSI

公開 : 2014.07.24 23:40  更新 : 2017.05.29 18:58

■どんなクルマ?

広告が掲げるとおり、このクルマは “ザ・ニュー・ポロ”だ。ただし、最新と謳うほどの変化は、中を見ても、外を見てもあまりよく分からない。モデル・チェンジを示すための、もっとも手っ取り早い手段としてしばしば用いられる、バンパーやヘッドライトの変更さえもないのだ。

そのかわりにフォルクスワーゲンは、エンジンをリフレッシュし、その他の小道具を刷新することに力を注いでいる。

その結果、今回は4種類のエンジンが用意される。その内訳は、Up!譲りの1.0ℓ3気筒ガソリン・エンジンが60psと75psの2種類、また1.2ℓのTSIターボ・ガソリン・エンジンが90psと110psの2種類だ。

スタート・ストップ・システムを組み合わせる事により、ブルーモーションのエンブレムは引き継がれる。したがってEU6エミッション・スタンダードをクリアすることは、もはや必然と言って差し支えないだろう。われわれがテストした、標準グレードのポロはTSIエンジンの90ps版で、複合サイクル燃費は21.3km/ℓ、CO2排出量は107g/kmを記録した。

エンジンの変更にくわえて、おおまかな装備も改善された。テスト車には6.5インチのスクリーンが用意されていたが(これよりグレードが低くなると5.8インチになる)、インフォテインメント・システムは最新版になっていた。

そしてついに、事故の二次災害を防ぐためにESPと協調動作を行うポスト-コリジョン・ブレーキ・システムや、坂道発進補助装置が全てのグレードに標準で装備される。

またオプションのなかでも代表的な、アダプティブ・クルーズ・コントロール、ドライバー警告システム、30km/h以下ならば自動的にブレーキが作動して危険を回避するシティ・エマージェンシー・ブレーキを£500(7万4千円)で追加することもできるようになった。

SE(簡単に言うと、装備は豊富だがラグジュアリーではない)グレードは、現段階では理想とされる小型車に最も近いところにある。しかし均整がとれていてバランスが良いルックスを持っているにも関わらず、次の日になれば、それがどんなものだったのか思い出せない退屈なルックスは本当に惜しい。待ちゆく人を振り返らせるほどの美貌は、残念ながら持ちあわせていないのである。

■どんな感じ?

路上に連れ出せば、粘り強さと正確なステアリングとともに、敏捷なクルマであることがわかる。その上とても簡単に運転することができる。

以前のモデルまでは電子ハイドロ・ステアリングであったが、今回のモデルからは全てのグレードが完全なる電子制御ステアリングに取って代わった。ポロのように、決して大きくないサイズのクルマには最適なチョイスだと言えるだろう。ギアの感触もよく、予想通りブレーキの制動力も優秀である。

1.2ℓの90psを発揮するエンジンは想像以上に活発に仕事をしてくれる。その上5速のマニュアル・トランスミッション(1.2ℓ TSIは6速)との相性も抜群だ。ただしその一方、1、2速における低回転ではフォルクスワーゲンらしからぬ不安定感があった。

動力性能に関しては感動的というよりもむしろ、必要にして十分といったところ。しかし4000から5000rpm前後では力強く、追い越し加速を行う際にも力を発揮してくれた。

とはいってもやはり、このクルマの最も大きなアピール・ポイントは、その経済性だ。21.3km/ℓという公表値と実測値とのギャップは、今どき珍しいほど大きかったけれど、それでも譲り合い走行では17.7km/ℓを達成したのだから、優秀なエンジンである。

■「買い」か?

ここまで美点を挙げてきたのだが、やはりわれわれはこのクルマの凡庸なルックスを受け入れることはできない。あまりにも退屈なのだ。

そろそろ、ゴルフに用いられる文法とは違った、別のデザインを模索すべきだと思う。

次の世代のポロに何を優先して求めるか。経済性や動力性能を差し置いて、われわれは真っ先に、迷うことなく、目新しいデザインだと言うだろう。

(スティーブ・クロプリー)

フォルクスワーゲン・ポロSE 1.2TSI

価格 £15,315(264万円)
最高速度 183km/h
0-100km/h加速 10.8秒
燃費 21.3km/ℓ
CO2排出量 107g/km
乾燥重量 1107kg
エンジン 直列4気筒1197ccターボ
最高出力 90ps/4800rpm
最大トルク 16.3kg-m/1400-4000rpm
ギアボックス 5速マニュアル

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