頂点に君臨する贅沢に浸る ベントレー・ベンテイガ EWBへ試乗 ミュルザンヌの代り役

公開 : 2022.10.14 08:25

ハイエンドSUVを更に高級に仕立て、ホイールベースを180mm伸ばしたEWB。英国編集部が一般道で評価しました。

ホイールベースを180mm延長したEWB

大金持ちやVIPの移動手段といえば、ボディの長い豪奢なリムジンが定番だ。ラグジュアリーSUVの人気で選択肢が増える状況にあっても、リムジンといえるようなモデルは存在しなかった。

ランドローバーは、レンジローバーにロングホイールベース版のLWBを用意していたが、リムジン並みの高級感は備えていなかった。そんな空白地帯に向けて、ベントレーベンテイガにEWB(エクステンデッド・ホイールベース)を投入した。

ベントレー・ベンテイガ EWB アズール・ファーストエディション(欧州仕様)
ベントレー・ベンテイガ EWB アズール・ファーストエディション(欧州仕様)

これまでも最高級SUVといえたベンテイガだが、ホイールベースを180mm延長。従来以上にリアシート側の空間へゆとりが生まれている。

そのリアシートも、一般的な3名がけベンチシートだけでなく、2名がけの独立シートを指定できる。さらにビジネスクラス級の移動をお望みなら、英国では8395ポンド(約138万円)の追加で「エアラインシート」という特別なものも選べる。

このシートは、量産車に搭載されるものとして過去最も快適といっていいだろう。角度などの調整域も、前例がないほど大きい。

何しろ、このベンテイガ EWBは、2020年に生産が終了したベントレー・ミュルザンヌに代わるポジショニングも目指されている。ベントレーのフラッグシップとして考えれば、納得の豪華さではある。

0-100km/h加速4.5秒 アクティブ後輪操舵は初

当初用意されるパワートレインは、通常のベンテイガに搭載される、最高出力549psの4.0L V型8気筒ツインターボエンジンのみ。V6エンジンと電気モーターが組み合わされた、プラグイン・ハイブリッドも追って登場予定にある。

シャシー技術に不足はない。アクティブ・アンチロールシステムや、ベンテイガでは初採用となるアクティブ後輪操舵など、盛りだくさんだ。

ベントレー・ベンテイガ EWB アズール・ファーストエディション(欧州仕様)
ベントレー・ベンテイガ EWB アズール・ファーストエディション(欧州仕様)

果たして、そのドライビング体験は標準ホイールベースのV8エンジン版と大差ない。スポーティにサウンドを響かせるベンテイガ Sとは対局的な、威風堂々とした風格を放つ。

とはいえ動力性能に不足はなく、0-100km/h加速は4.5秒。ボディの延長で車重が約100kg増えたことにより、同じV8のベンテイガより0.1秒だけ遅れる。

運転手がその気になれば、周囲を驚かせる勢いでの疾走もいとわない。スポーツ・モードを選ぶとアンチロールシステムが引き締まり、コーナーでのボディロールが最小限に留められる。大柄なSUVでありながら、唸るほど操縦性はいい。

しかし、ベンテイガ EWBのコンセプトにはコンフォート・モードの方が合致する。ソフトなエアスプリングが、アスファルトの不整を見事になだめてくれる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マイク・ダフ

    Mike Duff

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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